新型コロナ 10都府県に緊急事態宣言

名車と暮らせば~メルセデス「S124」との悲喜こもごも~ 第12回 新年早々、トラブル5連発! 名車「S124」に“逆お年玉”

コロナ禍による緊急事態宣言発令下で迎えた2021年。東京・国立市で暮らすメルセデス・ベンツのS124型「E320 ステーションワゴン」には、年明け早々から大小のトラブルが発生していた。それも5連発! 解決に向け奔走した模様とそこから得られた教訓をお伝えしたい。

○年末年始で走行距離を伸ばしたS124

昨年末から2021年の年頭にかけてのS124・3号機は、コロナ禍による緊急事態宣言の中、走行距離を結構伸ばした。まもなく出産を迎える長男のお嫁さんが故郷の北茨城市で休養するため、送りと迎えで2度往復したからだ。

年末、彼女の実家の目の前にある大津港には、正月休みを迎えた大型漁船がずらりと停泊中で、聞けばサバやイワシを求めて千葉県沖から北海道にかけて漁をおこなう船とのこと。どの船のへさきにも笹竹の先に取り付けた大漁旗が年の暮れの風に翻っていて、2021年がいい年になることを願うというそれはそれは神々しい光景だった。そして、ご自宅では特大の子持ちカレイの煮付けをごちそうになった。

例のスタッドレス(グッドイヤー・アイスナビ7)での燃費は、473キロ走って46.39Lを給油したので、10.20km/Lとまたしても好結果(この車としては、ですが)を出してくれた。

明けて1月半ばの北茨城往復では、少し時間があったので、全面凍結が近いというニュースを聞いて山間部にある名瀑「袋田の滝」まで足を伸ばした。巨大な滝が上から下まで凍り付いている景色は圧巻であったが、“多摩ナンバー”がそこにいることについては少し後ろめたい気持ちもあった。燃費は594キロ走って67.34Lを給油したので、8.82km/Lと前回よりかなり悪化。滝への往復でアップダウンのあるワインディングを100キロほど走ったのと、帰宅後に渋滞の中を数十キロ走った影響であろう。

○ヘッドライトの片方が消灯…

そんなこんなで年が明けた1月のある夜、長男を杉並の自宅に送るため中央高速・国立府中IC近くの街灯のない側道を走っていた時だった。白色のLEDバルブに交換して明るく光っていたヘッドライトが「フッ」という感じで少し暗くなったのだ。ライトの球切れ警告灯は点灯していていないので「??」と思いつつ路肩に停めると、左側がポジションライトだけになってしまっている。ヒューズボックスを開けて見ると、フロントの左ロービームを受け持つ13番には異常なし。そのままでは整備不良となってしまうので、翌朝すぐにアイディングに駆け込んだ。

アイディングの白濱社長によると、「NOVSIGHT」製LEDバルブ(made in China)は半年ぐらいでダメになるものがあるとのことで、たまたま社長の手持ちの予備があったのでその場で交換することに。すると、両目ともバッチリと点灯した。

しかし安心したのも束の間、翌日には同じ状態に。試しにバルブとコネクターの接続部分をグリグリ動かしてみると点いたり消えたりするのが確認できた。どうもコネクターのメス部分に少しだけ隙間があるようで、再び白濱社長に連絡すると、純正のヘッドライト用コネクターはもう部品として取ることができず、国産のものに変えてもコードの部分が少し細いため(純正のものは思いのほか太いものが使われている。さすがはドイツ製だ)、1年ほどでダメになるらしい。「こちらは研究課題とさせてください」(白濱社長)とのことなので、バルブを元のハロゲン球(PIAAのH4 3200K。Amazonで1,980円と昔に比べてかなり安くなった。こちらはmade in Koreaだ)に戻してみた。オレンジ色のライトは少し古い車に特有のもので、それ以来は問題なく両目とも点灯し続けてくれているし、黄色い光が当たる部分については意外に視認性がいいので、しばらくはこれでいくことにした。

○ウインドウォッシャー不調! エンジンノイズ混入!

ほかにも気になるところはあった。ここのところ、ウインドウォッシャー液の出が悪かったのだ。S124・3号機では、ウインカーと共通のステアリング右側のレバー先端をワンプッシュするとウインドウォッシャー液が出て、ワンアームワイパーが2~3度往復して拭き取ってくれるのだが、液の出方がチョロチョロとか弱く、フロントウインドーには吹きムラが多く残るようになっていた。

ライトの件でアイディングを訪れた際に浅野メカにそのことを告げると、おもむろに強力なエアクリーナーのホースを引っ張り出してきて、ボンネットにある液の出口付近を表と裏から「シュパーッ、シュパーッ」と清掃してくれた。古いウォッシャー液は石鹸が固まってノズルを詰まらせてしまう(浅野メカ)ことがよくあるとのことで、ブロワ作業後は液が勢いよく吹き出すようになった。

さらにもうひとつは、オーディオへのエンジンノイズの混入だ。アクセルの踏み加減に比例して発生する「ヒューン」というオルタネーターノイズ(?)が大きく聞こえるようになってきたのだ。これを解決するため、Bluetooth受信機とCDヘッドをつなぐ端子の間にAmazonで注文したANKEY製のグラウンドループアイソレーター「GI L-1」(1,199円、写真の右端のもの)をかませてみた。するとあら不思議! ノイズがほぼ聞こえなくなったではないか。ただし、音質自体はなんとなく上下方向の伸びがなくこもったように感じるので、少し様子を見てみることにした。

こんな風に不具合3連発になんとか対応策を見つけて安心していたら、さすがは124。定番のトラブルをあと2発、追加してくれた。まず、1月15日には1日で3回もエンストが発生。アイドリングは不安定になり、ブルンブルンと車体が揺れる。加速もか弱い。つまり、3号機の6気筒エンジンのうち1~2気筒が仕事をしていない感じで、これは124では定番のイグニッションコイル(スパークプラグに高電圧を供給するパーツ。1個で2気筒をカバーするので合計3個取り付けてある)の不調だろう。

残った4気筒の力で騙し騙しなんとか横浜のアイディングに到着。新型のAUTOLAND製テスターを使って調べると、シリンダーの1と6に対応する一番奥側のものがダメとのこと。Made in SloveniaのBOSCH製コイルは、当時のものと現在供給されているものでは形状が違い、また同じBOSCH製でもメーカー純正とOEMのものがあるとのこと。さらに、ひとつだけ新品に交換しても、残りが同時期の古いものであれば、まもなく寿命を迎えてしまうであろうとの見立てだ。というわけで、3つとも純正の新品(1個2万1,230円)に交換。スキャナーによる診断や点検の工賃1万1,880円との合計7万5,570円は、結構な額の“逆お年玉”である。

そして1週間後の1月22日、翌日には東京にも雪が降ろうかという冷たい雨が降る夜、国立駅前で今度は、暖かい風を出していたブロアファンが突然の停止。猛烈に曇る内側のガラス窓をウエスで拭き拭きしつつ自宅に戻ることになった。調べてみると、これも124の定番トラブルで、樹脂製のヒューズボックスの土台部分が12番のブロアファン用ヒューズが発生する熱でだんだんと溶けてしまい、沈み込んで接触不良となり、最後はファンが回らなくなる、という現象なのだ。

とりあえず予備の青色25A(アンペア)ヒューズに取り替えてみるとファンが動き出したので、ひと安心。こちらもアイディングに持ち込んでチェックすると、12番ヒューズの頭の位置は他に比べてわずかに下がっているだけなので、まだほんの初期症状だという。

白濱社長からは「ファンのダイヤルを1(低速)で回しているだけなら、もうしばらく持ちそう。3や4(高速側)で長時間回すとすぐダメになる。今やるとしたら、予備整備という形になります」といわれたけれども、地球温暖化でエアコンをガンガン回す真夏に、ここがダウンしてしまうのは考えただけでもゾッとする(ただでさえ旧式の空調性能しか持たない124なので)。担当する浅野メカからは「古くなって“鈴虫”と呼ばれるチリチリ音が出始めた124のブロアファンは、回転が重くなって抵抗が増している証拠。その熱で12番がいずれはダメになるので、今回やるのは正解ですよ」とのこと。早速、12番用の回路だけを取り出して新たな板ヒューズ(30A)をつないだ対策品の小型BOXを取り付けるという作業を行ってもらった。

1時間ちょっとで取り付けが完了。ヒューズBOX(3,619円)やブラケットなどのパーツ代と8,800円の工賃でトータル1万2,408円だ。今年で26歳というお年寄りには、前もって対策を施してあげるという“いたわり”の心(と費用)も大切なのである。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら

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