2018年の「今年の一皿」は「鯖」に決定 - 優れた非常食として鯖缶が注目

食を主要テーマにさまざまな調査・研究を行うぐるなび総研は12月6日、今年の世相を反映・象徴する「食」を選定する「2018年『今年の一皿』記者発表会」を都内にて開催した。

「今年の一皿」は日本の食文化を共通の遺産として記録し、保護・継承することを目的に同社が2014年より開始したもので、今年で5回目となる。同社の代表取締役社長兼ぐるなび代表取締役会長の滝久雄氏は、冒頭のあいさつで「これまで選ばれた食材では、生産地などの活性化にもつながっていると聞き、嬉しく思う。日本の食文化を記録として残し、地方創世の一助になればと思います」と述べた。

実際に過去に選定された「鶏むね肉料理(2017)」「パクチー料理(2016)」「おにぎらず(2015)」「ジビエ料理(2014)」は、選定後にさらに消費が増えるなどの影響があったという。

また、農林水産省 食料産業局長の新井ゆたか氏も登壇し、「今年で5年目となりますが、どれも一過性のものではなく、その後の食文化が豊かになるものばかり。今年選ばれる一皿も、日本だけでなく世界の方々がいろいろなアレンジをするはず」と挨拶した。

選定は1,643万人のぐるなび会員や、6,500万人のユニークユーザーの閲覧履歴などを分析したビッグデータを基に行われる。検索数や上昇率などの一定条件を満たした40ワードをビッグデータから抽出し、ぐるなび会員アンケートやメディア審査を経て4つのノミネートワードが選出される。今年のノミネートワードは「高級食パン」「国産レモン」「しびれ料理」「鯖」の4つ。この中から準大賞と大賞が選ばれる。

○準大賞には「しびれ料理」

まず、準大賞が発表された。準大賞に選ばれたのは「しびれ料理」。6年連続で訪日外国人客数が過去最多を記録し、多様な文化を受け入れる中で食文化も大きな変化を受けている。

その中でも、麻婆豆腐や担担麺などの普及による「花椒」の新しい味覚に魅了される人が増えたことが、選定理由として挙げられた。ぐるなびに登録されている飲食店でも「花椒」をメニューに登録している店舗数は昨年対比で約2倍となっており、しびれを楽しむ「マー活」「しび活」という言葉も生まれている。

麻辣連盟の総裁である中川正道氏は「中国留学で四川料理にしびれてしまい、帰国してからもその味を忘れられなかった。仕事も辞めて麻辣連盟をつくり、今では四川フェスというイベントも行っている。これからもたくさんの人にしびれる味を知っていただきたい」と受賞の喜びを語った。
○2018年の今年の一皿は「鯖」

続いていよいよ、2018年の日本の世相を映した食として、今年の一皿が発表された。選ばれたのは「鯖」。その理由として、2018年が多くの災害に見舞われ、非常食へ関心が高まった中で「鯖缶」に大きな注目が集まった。それに伴って、魚食文化が見直されるきっかけとなったことなどが挙げられた。また、各地域によるブランド鯖の認知向上や外食での普及拡大、持続可能な水産資源として優秀である点なども、選定のポイントとなったという。

一般社団法人大日本水産会会長の白須敏朗氏は受賞コメントの中で「水産大国・日本として胸を張っていたが、今や日本人は魚よりも肉を食べている。業界を挙げて努力している中で鯖は救世主のような存在。漁獲量が伸びているし、持続可能な漁業を支えている優等生の魚」と、喜びとともに水産業界においても鯖が優秀であることを紹介した。
○「鯖」をめぐるトークセッション

発表会では、「鯖」と縁の深い4人によるトークセッションも行われた。

医学部在学中に司法試験にも合格し、「鯖で育んだ頭脳の持ち主」として話題の東京大学医学部医学科5年生の河野玄斗氏は「鯖を食べて頭が良くなったと信じています」とコメント。脳の働きを助けるとされるDHAを豊富に含む鯖を普段からたくさん食べているそうで、そのことがメディアで紹介された際には「近くのコンビニなどから鯖缶が消えて困ってしまった。今回はちゃんと自分の分をキープしておきたいです」と話していた。

また、全日本さば連合会会長で「サバニスト」の小林崇亮氏は「鯖に代わってお礼を申し上げます。鯖はあたりまえすぎて知られていないことが多い魚。鯖の魅力を多くの人に知っていただきたい」と破顔一笑。

同連合会広報で「サバジェンヌ」の池田陽子氏は「連合会的に申し上げると『サバらしい(素晴らしい)』ですね! 女性はダイエットや美容目的で食べる方も多い。私も美容液感覚で食べています」。血流の改善やがん予防への期待できるEPAや、骨や歯の発育に欠かせないビタミンDなども豊富に含まれる鯖の魅力をユーモアを含めてコメントした。

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所 資源管理研究センターで主任研究員を務める由上龍嗣氏は「意外に思われる方が多いんですが、鯖は長旅をします。日本近海で生まれた鯖は、海流に乗って日付変更線近くまで行き、秋に日本近海に戻ってくる。この戻ってくる真鯖の量を調査しています。2018年生まれの真鯖がたくさんいることがわかっているので、今後も豊漁が期待できます」と、鯖の習性を解説した。

豊富な漁獲量があり、身近な存在ながら、鯖缶などのように利便性や保管性に優れたアイテムにも適している鯖。洗練された味わいのおしゃれでプレミアムな鯖缶も最近では販売されているので、食卓に一皿追加してみてはいかがだろうか。

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