架空請求、オレオレ詐欺…「特殊詐欺」過去最多 その実態、詐欺に遭わないために私たちができることは? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。2月14日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「特殊詐欺の件数、過去15年で最多。その要因は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



◆特殊詐欺の認知件数が過去15年で最多 多いのは「架空請求詐欺」

警察庁のまとめによると、去年の特殊詐欺の認知件数は1万9,033件で、過去15年間で最多となったことが分かりました。被害額は441億2,000万円。7年ぶりに400億円台となっています。

吉田:塚越さん、去年はどういった手口が多かったのでしょうか?

塚越:手口別で一番多いのは、「未払い料金がある」と嘘をついて金銭をだまし取る「架空料金請求詐欺」です。去年よりも75.8%増加の5,136件でした。

架空料金請求詐欺のなかで多いのが「サポート詐欺」というもの。「ウイルスに感染した」といった嘘の警告をパソコンに表示し、被害者が詐欺師に電話をかけて、復旧の名目などで金銭を要求するものです。架空料金請求詐欺のうち4割を占めています。

一方、いわゆる「オレオレ詐欺」や、「キャッシュカードを交換します」と嘘をついて、犯人が被害者の自宅を実際に訪問する「対面型詐欺」は8.5%減少しています。

◆摘発のハードルが上がる「海外に拠点を置く特殊詐欺グループ」

吉田:「サポート詐欺」が増加した要因としては、どのようなことが考えられますか?

塚越:警察庁によれば、サポート詐欺は犯人にとっては効率が良いということです。被害者から電話がかかってくるので、オレオレ詐欺のように不特定多数に電話をかけなくてもよく、対面で会う必要もありません。

また、コロナ禍でオンライン上の交流や取引が増えたのも拡大の要因です。詐欺は電話が多いですが、今後はネットを利用したものも広がると考えられます。ネットで簡単に送金ができるようになったのも理由の1つです。

さらに特殊詐欺が増える要因に、詐欺集団の拠点が海外にあり、摘発のハードルが高いことも挙げられます。特殊詐欺に関連して検挙されたのは2,499人。そのうちフィリピンやカンボジアといった海外拠点の摘発で検挙されたのは69人。これは警察庁に記録が残る2019年以降で最多となっています。

69人と聞くと少ないと思われるかもしれませんが、去年話題になった(フィリピンを拠点に60億円以上の被害を出した特殊詐欺グループの幹部)「ルフィ」を名乗る指示役はフィリピンにいました。実行役は日本で逮捕されても、重要な位置にいる指示役などが海外にいると考えれば、やはりこうした海外拠点を叩くことが課題になります。

(特殊詐欺グループの指示役が選ぶ)海外拠点は、日本との時差が少なく、物価が安く、電話をかけやすくて、通信に関わる規制も日本より緩い場所とされています。

◆特殊詐欺を減らすための取り組みは?

ユージ:特殊詐欺の件数を減らすためには、どのような対策が必要だと思いますか?

塚越:架空請求型の詐欺の場合、金銭はコンビニで販売されている電子マネー(プリペイドカード)を購入させることが多いです。特にAppleのギフトカードの悪用が急増しており、警察庁もAppleやコンビニに被害防止の協力を呼びかけています。

次に特殊詐欺では、全体の8割近くが「電話」によるものです。そのうち9割は固定電話を利用しています。そこでNTT東日本と西日本は、そもそも特殊詐欺の電話が来ないようにする対応をとっています。この2社は去年5月から、かけてきた相手の電話番号を表示する「ナンバー・ディスプレイ」と、非通知の電話には相手にかけ直すように伝える「ナンバー・リクエスト」という有料のオプションを、70歳以上の高齢者は無料で利用できるようにしました。

(特殊詐欺の被害に遭わないためには)そもそも最初から電話を受けないことが重要なので、「ナンバー・ディスプレイ」「ナンバー・リクエスト」の2つを覚えておいてください。特に無料対象者の方はぜひ利用していただきたいです。高齢の親がいる方や、離れて暮らしている方は勧めてみてください。

また、海外拠点の犯行グループについては、今年の4月に「特殊詐欺連合捜査班」を設けるそうです。首都圏などの警察に配置された500人の専従捜査員が、各地の警察からの要請に迅速に対応して捜査を進めるとのことです。こちらも何とかしてほしいですね。

◆「頼れる人を作る」ことが大切

ユージ:去年の特殊詐欺の件数が過去15年間で最多になったことについて、塚越さんはどうご覧になっていますか?

塚越:特殊詐欺を含めた刑法犯全体の認知件数は、2021年までは20年近く減少していましたが、2022年~2023年は増加傾向にあります。(警察庁が昨年実施した)アンケート調査でも「ここ10年で日本の治安が悪くなったと思う」と感じている人が増えてきており、「はい」と回答した人が全体の7割近くになります。

根本的な対策は難しいのですが、不安な気持ちになりそうなときは“頼れる人”を作ることが大切です。「情けは人の為ならず」で、自分のためにも家族や身近に頼れる人との関係を築くことも大切です。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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2月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年2月22日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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