63歳の会社員。月収84万円で来年契約が終了。再就職できない場合の年金と失業手当について知りたい

年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、63歳の嘱託社員として働く人が、契約終了後、再就職できなかった場合の年金と失業手当についての質問です。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、63歳の嘱託社員として働く人が、契約終了後、再就職できなかった場合の年金と失業手当についての質問です。

Q:来年3月で契約終了後、再就職できなかったら、失業手当と特別支給の老齢厚生年金、どちらを受け取った方がいい?

「2カ月前に63歳になった嘱託社員です。雇用契約は来年の3月末で終了します。現在の給与条件は月額84万円(賞与なし、退職金なし)ですが、契約終了後に再就職できなかった場合を想定して、失業等給付と特別支給の老齢厚生年金について教えてください。

【1】失業等給付と特別支給の老齢厚生年金の両方を受け取ることはできますか?
【2】どちらか一方しか受け取れない場合は、どちらを受け取った方がよいですか?
【3】失業等給付は、毎月いくらをいつまで受け取れますか?(特別支給の老齢厚生年金の税引前受取金額はホームページで確認してます)

失業等給付を停止して特別支給の老齢厚生年金を受け取るのか、失業等給付の期間が終了してから特別支給の老齢厚生年金の受け取りに切り替えるのか、どちらがいいでしょうか?」(悩める63歳さん)

A:ハローワークで基本手当(失業手当)、年金事務所で特別支給の老齢厚生年金を試算してもらい、比較しましょう

相談者は「特別支給の老齢厚生年金の税引前受取金額はホームページで確認してます」とのことですので、特別支給の老齢厚生年金が受給できるでしょう。しかし、特別支給の老齢厚生年金と基本手当(失業手当)は同時に受給できず、どちらかを受給することになります。

ハローワークへ基本手当(失業手当)の手続きに行くと、基本手当(失業手当)の受給終了まで、特別支給の老齢厚生年金は支給停止となります。途中で基本手当(失業手当)の受給をやめて、特別支給の老齢厚生年金を受け取る、ということはできません。基本手当(失業手当)の受給を終了したら特別支給の老齢厚生年金は受け取れます。

基本手当(失業手当)の日額と受給日数は、退職理由や勤続年数、給与(賃金)によっても異なりますが、離職日に63歳であれば、受給日数は90日から240日分です。60歳から64歳の基本手当(失業手当)の日額上限は7294円(令和5年8月より)で、30日分で21万8820円が最高額です。

ハローワークでは、在職中でも基本手当の金額のおおよその計算をしてもらえますので、離職前に確認してみましょう。

一般的に、基本手当(失業手当)が高くなることが多いと思います。まずは、基本手当(失業手当)と特別支給の老齢厚生年金のどちらが高いか、把握しておきましょう。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))

ジャンルで探す