益若つばささん自宅に「息子の友達10人が連泊することも」意外な肝っ玉母ちゃんぶり「こんなママいないよ!」
「今日から反抗期に入ります!」と突然の宣言
ーーお子さんを育てる中で、自分の親の育児スタイルから影響を受けたり、または反面教師にしたりしていますか?
野々村友紀子さん(以下、野々村) 私の母親は過干渉でしたが、自分の子どもに対しては完全に反面教師なアプローチをしていますね。子どもに対してうるさく言いそうになったら思春期のころの自分を辿って、「あんまり言ったら嫌われるから、グイグイいかないようにしよう」と踏みとどまったりね。本当は「友達と喧嘩したの? どうなの?」とか聞きたいけど、喋りたくなさそうなら黙っています。
ーーお子さんたちは高校1年~3年生で年齢的には思春期真っ只中~終わったかな、くらいだと思いますが、「思春期に突入したな」と思ったのはいつでしたか?
野々村 次女は早かったですね。小学4年生くらいのときに「今日から反抗期に入ります!」と宣言したんです。
ーーえええ! 宣言!? ユニークですね!
野々村 「こうやって入んねや……おもしろいな」と思いましたね。「終わったら言いますんで、あんまりごちゃごちゃ言ってきたら長引きますよ」とも言っていました。
益若つばささん(以下、益若) すごくしっかりしていますね。
野々村 この前、「高校1年になったし、そういえば反抗期終わった?」と聞いたら「まだ絶賛やってます。いまので2年くらい長引きましたんで」と言われました(笑)。
ーー宣言することに、なにか明確な効果がありそうですね。
野々村 「ママがイヤ」というのを口に出しやすくなったようで、ひどいんですけど「ママうるさい」「ママ太ってるね」「ママってシワがあるね」とか失礼なこともバンバン言ってきます。
小3まではすごく「ママ好き好き!」だったのに、「急になんなん!?」と思いますが、なにか言いたいんでしょうね、わからんけど。いちいち反応していたらキリがないので、こっちも気にしないようにして「また言ってるわ」くらいに思っています。
益若 上の子はどうですか?
野々村 そういうことはなかったんです。だから「子どもの反抗期、楽勝やん」と思っていたら、下からすごいのが来た……。
思春期vs更年期、ホルモンの戦い
益若 反抗期でもごはんは家族で一緒に食べているんですか?
野々村 一緒に食べられるときは食べますし、会話もするんです。次女は反抗期宣言をしているのに、スキンシップもしてきますね。私からはいかないようにしていますが、向こうからはベタベタしてくる。
益若 へー! 不思議!
野々村 不思議ですよね。こっちが調子に乗ってスキンシップしようとすると、「うーん、ちがう」と言って離れていくし。
益若 猫みたいでかわいい! いろいろ言っていても、本音ではママのことが好きなんですね。
野々村 この年頃って複雑なのかもしれないですね。第二次性徴期は性ホルモンの分泌量が増えますが、次女を見ていると、ホルモンに乗っ取られているというか。だから腹が立つことを言われても「あの子が喋っているんじゃなくて、ホルモンが喋っている!」と思うようにしています。
ーー「ホルモンが喋っている」っていいですね!
野々村 それでも実際、嫌な態度を取られたらむちゃくちゃ腹が立つし、こっちもホルモンのせいで荒ぶっているときがあるから、そういうときは喧嘩になっちゃいますけどね。女性って思春期から産前産後、そして私は今年50代に入りますが、更年期にもまたホルモンに乗っ取られて。だからいま我が家は、思春期と更年期、ホルモンの戦いです。
ーーイライラをコントロールしようとがんばっているのが立派だと思います。
野々村 いや、コントロールできないときのほうが多いので、「あのときこうしておけばよかった」と思うことがよくあります。「こんなにケンカになるんやったら、放っておいたらよかった」とか「エスカレートする前に、なんで序盤で部屋を出なかったんだろう」とか。後悔ではないんですが、言うなれば“プチ後悔”でしょうか。
益若 次女とママがバトルしている間、パパと上のお子さんはどうしているんですか?
野々村 パパは放っていて、長女もシレっとして「またやってるわ」みたいな。ただ長女は冷静に聞いているので「あれはママが合ってたよ」と、あとでこっそり私の味方をしてくれることもあります。
益若 女の子たちですけど、パパに対してはどんな態度なんですか?
野々村 それが長女も次女もパパにはすごく優しいんです。悪口も言わへんし。言っても「最近お腹が出てきたけどほかのパパよりは出てないよね」とオブラートに包んでいて、ズルいんですよ。
益若 コントみたいでおもしろいですね(笑)。
野々村 パパのことはすごく好きで、娘とふたりでお茶を飲みに行ったりもしていますね。パパが子どもにグイグイいかない、絶妙な距離感がポイントなんでしょうかね。
役割を与えて、一緒にごはんを作る
野々村 益若さんの息子さんはいかがですか?
益若 うちは中学生から高校生になった今もずっと寮生活で、休日だけ帰ってきて一緒に過ごします。普段離れているからかもしれませんが、反抗期だなと感じることがなくて。今日もずっとLINEしているくらいです。
寮から帰ってくると一緒にスーパーに行って食材を買って、息子が「こういうのを作ってみたい」と言うメニューを一緒に作ります。
野々村 へー! いい関係!
益若 息子は家にお友達をたくさん呼ぶんですが、平気で10人近く来るんですよ。しかも何日間もうちに泊まることもあって、そういうときはもう合宿のような感じです。
ーーごはんの用意とか大変じゃないですか?
益若 いえ、子どもたちみんなで料理をするんですよ。私は監督として一切手を出さずに、包丁で切るところから炒めることまで、「いったん、自分たちでやってみよう」と全部作ってもらっています。
泊まりにくるお友達の中には反抗期の子ももちろんいて、「親とは話さない」とか言うけど、めっちゃいい子なんです。私は他人だから話しやすいのかもしれないですね。そこで聞いた話をそれぞれの親御さんに伝達したりしています。
野々村 うわあ、益若さん、近所にいてほしい人やね!
益若 私、見た目はこんな感じですけど育ち方が"昭和”なので、いまも“昭和のおせっかいお母さん”という役割が好きなんです。
私が小さいころ、両親と折り合いが良くない友達がうちに泊まりに来ることがあって、一緒にごはんを作ったりしていました。親になったいまも、それを地続きでやっている感じですね。息子も私と一緒に“もてなす側”で、お友達に楽しい場を提供するという役割を意識していると思います。
ーー子どもは、役割を与えてもらうと活き活きしますよね。
益若 そうなんですよね。息子だけじゃなく、他の子どもたちも料理をするのが楽しいみたいで。手分けをして皿を出す人、飲み物を出す人、とかの役割も決めて、食卓の準備もしてもらいます。私はなるべく自分でやらないように見守って任せるようにしています。
野々村 お泊り会をして、親から1~2日離れるのも、子どもたちにとっていいのかもしれませんね。うちの場合も、私が忙しくて物理的にかまえなくなると、逆にちょっと関係が良くなりました。私がずっと家にいたときは子どものことが気になりすぎるし、離れようと思っても離れられないし。だから、仕事が忙しくなってちょうどよかったです。
益若 恋愛みたいですよね。
野々村 そうそう! ずっと一緒にいすぎるとケンカばかりになる。
子どもの前で、誰かにママのことを褒めてもらう作戦
ーー野々村さんは先ほど「プチ後悔がある」と言っていましたが、どんなときにそう思いますか?
野々村 「今この子はホルモンが喋っている」と自分に言い聞かせても、効かないときがあるんですよね。腹が立って「なんでそういう言い方するの?」と言うと、向こうはさらに上乗せして腹が立つ言い方をしてくる。私の心の声は「この辺でやめとかな、泥沼にはまっていくよ」と忠告してくれるんですけど、止まらへんから。それでやり合いになるんです。
一方で、こっちは大人だから絶対に言ったらあかん言葉を頑張って言わないようにしているのに、子どもって平気でキツイこと言うんですよ。おお、平気で言うねーー!! って。
ーーそうですね(笑)。
野々村 そうしたらこっちもまたさらに言い返して……「どうやったらこれ終わるねん!?」という状態になるんです。
ーーどうやって終わらせるんですか?
野々村 私が「も、もう明日から(次女の)スマホ解約するから……!」とか一生懸命考えた捨て台詞を言うて、そうしたらさらに上をいく捨て台詞を吐かれ……。最終的には、お互いに疲れて「もうええわ」となって私が部屋を出ていきます。
益若 そうか、野々村さんが娘さんの部屋にいるという状況なんですね。
野々村 そう、こっちが出ていかないと終わらないんです。「出ていけ!」と言われても腹が立つから出ていかれへんしさ。それで最後に無言で出ていくと、後ろから「逃げんのかよ!」とか言われるからさあ。キイーッてなりますねえ。
益若 めっちゃ強いですね!(笑)
ーー益若さんは息子さんとケンカしないですか?
益若 しないんですよね。息子は私のこと、圧倒的に勝てない人だと思って怖いんじゃないですかね?
ーーえええ、意外です。
益若 あと、私の友達もよくうちに集まるんですけど、息子に「君はママの息子でよかったね~こんないいママいないよ、ラッキーだよ!」とよく言ってくれるんですよ。おかげで株が上がっているのかなと思いまして(笑)。
この作戦、使えるんじゃないでしょうか。子どもの前で誰かにママのことを褒めてもらうと、子どもにとってママの価値が高まるような気がします。
先輩ママ友の予言「おお、本当にそうなるやん」
益若 逆に、お母さんがお父さんを軽んじていたら、子どもは頭がいいから「この人は軽んじていい対象なんだ」と思ってしまうかもしれません。お父さんがお母さんをいじめているような場合もそうですよね。夫婦でパートナーをリスペクトすることって、子どものためにも大事だと思います。
それと、子どもは「この人は優しいから、ここまで言っていい」と計っていることもありますよね。だから野々村さんに次女さんがぶつかってくるのは、野々村さんがお子さまに対してとても優しいのかなと思いました。
野々村 うーん、怖くしているとは思いますけどね。
益若 お話を聞いていると語り口がおもしろいし、怖いよりも「おもしろいお母さん」が勝っているのかも。それに、お子さまがパパのことを大好きなのは、野々村さんがパパをリスペクトして褒めているからだと思いました。
野々村 それはあるかもしれないですね。
益若 ということは、パパにママのことをめちゃくちゃ褒めさせないとですね! ケンカになりそうなときは「ママにそんなこと言うなよ」と止めるとか。
野々村 そうしてよ、って言っているんですが、なんか……そういうとき、夫はすごい小っちゃい声でしか言えないんですよ。舞台に出ている人間がなんでそんなに小っちゃい声やねんと。
益若 (笑)パパはいませっかくお嬢さんたちに好かれているのに、嫌われたくないんですね。
ーーママ友とこういった話を共有することはありますか?
野々村 あります。私は関西から上京して来てずっとワンオペだったので、子どもが赤ちゃんのときにできたママ友の存在が支えになっていました。ずっと子どもの相談をし合っていると、「なんや、みんな悩みは一緒やん」となるんですよね。
ーーみんな同じことで悩んでいると思うと、少し軽減されますよね。
野々村 それに、ママ友の子どもに上の子がいると「高学年で『うるさい!』とかきついことを言うようになるよ」と予備知識が入るんですよね。そのときは信じられないと思いますが、時期がくると「おお、ちゃんと言うてるやん……」と答え合わせになる。
「それも次へのステップだから、娘ちゃんたちも、大人になるためにあがいているから」と言ってくれる先人のアドバイスは、ちゃんと聞くようにしていますね。
野々村友紀子さん/放送作家
1974年8月5日生まれ、大阪府出身。コンビ芸人、会社員を経て放送作家に転身。2002年2丁拳銃の川谷修士さんと結婚し、2006年に主婦業に専念するため仕事をセーブ。放送作家をしていた2016年、バラエティ番組で夫の相方である小堀裕之さんへの歯に衣着せぬダメ出しで話題になると、テレビ出演が急増した。現在はコメンテーターとしても活躍中。2児の母。
益若つばささん/モデル・タレント・実業家
1985年10月13日生まれ、埼玉県出身。高校生の頃から読者モデルとして雑誌『Popteen』で人気を博し、ティーンのカリスマ的存在に。現在はモデル、美容関連商品のプロデューサーとして活躍。2021年6月、自身のYouTubeチャンネルで子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ」の装着手術を受けたことを告白し、話題となった。1児の母。
(撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)
07/23 09:53
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