「わが子は中学受験に向いてないかも」と思ったらどうする?|低学年のための中学受験レッスン#31
最初に保護者の皆さんへお伝えしたいこと
お話しを始める前に、まずお断りしておきたいことがあります。
私個人的には、どんな子であっても中学受験を目指せると考えています。
また、とりわけ首都圏にお住まいの場合、中学受験の選択肢は非常にたくさんありますので、学力に応じた併願パターンを組めば、進学先は必ず見つけることが可能です。
ですので、たとえ今回お話しすることにお子さんがあてはまり、「うちの子は中学受験に向いていないんだ」という結果になったとしても、「絶対に中学受験はやめておいた方がよい」というわけではないことをお伝えしておきます。
ただ、中学受験へのチャレンジを、より慎重に検討した方が良いケースがあるのは確かです。これから2点ポイントを挙げますので、参考にしてみてください。
お話しを始める前に、まずお断りしておきたいことがあります。
私個人的には、どんな子であっても中学受験を目指せると考えています。
また、とりわけ首都圏にお住まいの場合、中学受験の選択肢は非常にたくさんありますので、学力に応じた併願パターンを組めば、進学先は必ず見つけることが可能です。
ですので、たとえ今回お話しすることにお子さんがあてはまり、「うちの子は中学受験に向いていないんだ」という結果になったとしても、「絶対に中学受験はやめておいた方がよい」というわけではないことをお伝えしておきます。
ただ、中学受験へのチャレンジを、より慎重に検討した方が良いケースがあるのは確かです。これから2点ポイントを挙げますので、参考にしてみてください。
本人のやる気が著しく低い場合
これは何を成し遂げるのにも最低限必要なことだとは思いますが、子ども本人が「やる気」という気持ちを持っているかどうかは非常に重要な要素です。
なるべく勉強をしたくない、勉強が嫌いなようだ、というわが子を見て、「この子に中学受験は無理かも……」と親御さんが思われるのはもっともなことです。
中学受験には「お勉強が好きな子」が集まってくる
実際のところ、昨今の中学受験はすそ野が非常に広がっており、そもそも「お勉強が好きな子」がたくさん集まってきている状況にあります。
以前の中学受験であれば、中学受験を目指す生徒の中でも、やる気と才能にあふれている子は割合的に多くはありませんでした。
しかし、現在では、潜在能力もモチベーションも高い子が一定数中学受験に流入してきているため、いわゆる上位校と呼ばれる学校の合格者はそうした意識の高い受験生で占有されてしまっている状況となっています。
どんなに能力があってモチベーションが高くても、一発勝負の入試では、不合格になってしまうケースがあります。
ですから、上位校に入って当然のような層の一部が、上位校に続く中堅校にまで流れてきます。
これが中学受験で「昔と比べて上位校はおろか、中堅校の倍率も上がってきてしまっている」理由のひとつです。
おまけに、かつて(今のお父さんお母さんが中学受験をした頃)と比べ、現代の中学受験の世界は覚えなければいけないことが段違いに増え、国語の課題文は長文化し、算数の難度も上がりました。
その結果、「ラストスパート一ヶ月で猛然と学習して追いつく」ことが物理的に不可能となってしまっています。ある程度勉強が好きで、コツコツ学習できることが、今の中学受験では「必要条件」となりつつあるのです。
うちの子、やる気ある? 判断基準のひとつが「小5の夏」
とはいえ、まだ低学年の段階で、燃えたぎるようなやる気に満ちあふれている子は少ないでしょう。
ですから、低学年の段階で「うちの子全然勉強する気なんてない、中学受験には向いていないんだ」早々と諦めてしまう必要はありません。
大事なことは、今から「中学受験に向いていない子」「勉強が嫌いな子」に育ててしまわないことです。
目安としては学習内容の難度が格段に上がり、学習しなければならない分量もぐっと増えてくる小5の時期が、中学受験から撤退するかどうかのひとつの判断材料となると思います。
小5の夏休みになってもやる気が全く上がってこない、勉強も全然やろうとしない場合には、「うちの子はちょっと中学受験には向かないかも」と思っていただくのがよいと思います。
子どもの学習意欲を育てる、親の関わり方
小5の段階で「うちの子やっぱりムリかも……」とならないためにも、低学年のうちから「学習意欲」を高めておく必要があります。
そのためには、お子さんの「自己肯定感」を育む必要があります。お子さんが何か困難なことに直面したときには、保護者の方が手助けをしても構いませんので、必ず乗り越えさせてください。
途中で挫折させないことがとても重要です。「もう嫌だ」となっても、励まして頑張らせてください。
そして、できるようになったときには、大げさなくらいほめてあげましょう。
「すごい!」
「天才!」
「やればできるじゃん!」
「きっとできるって信じていたよ」
苦しいことを乗り越えた経験と、子どもに寄り添った親御さんの愛のある声掛けが、お子さんの「自己肯定感」を高め、チャレンジしてみようという気持ちを育てるのです。
そうして育った子は、学ぶことやチャレンジすることをいとうことはありません。また苦難に直面しても「何とか克服してやろう」という強いメンタルを持つことができます。
小5の段階で「うちの子やっぱりムリかも……」とならないためにも、低学年のうちから「学習意欲」を高めておく必要があります。
そのためには、お子さんの「自己肯定感」を育む必要があります。お子さんが何か困難なことに直面したときには、保護者の方が手助けをしても構いませんので、必ず乗り越えさせてください。
途中で挫折させないことがとても重要です。「もう嫌だ」となっても、励まして頑張らせてください。
そして、できるようになったときには、大げさなくらいほめてあげましょう。
「すごい!」
「天才!」
「やればできるじゃん!」
「きっとできるって信じていたよ」
苦しいことを乗り越えた経験と、子どもに寄り添った親御さんの愛のある声掛けが、お子さんの「自己肯定感」を高め、チャレンジしてみようという気持ちを育てるのです。
そうして育った子は、学ぶことやチャレンジすることをいとうことはありません。また苦難に直面しても「何とか克服してやろう」という強いメンタルを持つことができます。
学習に関して何らかの困難を抱えている場合
繰り返しとなりますが、私はたとえ「学習に関して何らかの困難を抱えている子」であっても、中学受験を目指せると考えています。
事実、私の塾では入塾試験を設けず先着順に入塾を認めているため、中には「学習上の困難」を抱えて入塾してくる生徒もいます。
しかし、途中退会しない限り最後まで私立中学の受験を目指して伴走しますし、何人かの生徒はいわゆる「上位校」と呼ばれる学校に入学していきました。
ですから「学習に関して何らかの困難を抱えている子」は中学受験を諦めなさいなどという暴論を唱えるつもりは毛頭ありません。
しかしながら、たとえば発達障害やグレーゾーンといった特性のような、何らかの形で「学習に関して何らかの困難を抱えている子」には、そうした子ども特有の状況が存在することも事実です。
保護者の「手厚いサポート」と「寄り添う姿勢」が何よりも大事
「学習に関して何らかの困難を抱えている」子どもは、学習したことを理解したり習得したりするのに、通常よりも時間がかかったり多くのサポートを必要としたりします。
そのため、保護者の方の負担が大きく、ストレスも増大しやすい傾向があります。
また、目に見える形であまり学力が上がっていかない例も多いため、かけたお金と労力に見合う結果が得られないことに対する、家族や本人の不満が増大しやすいのです。
それに耐えられなくなり、夫婦関係や親子関係が崩れてしまうということも少なくありません。
こうした最悪の状況を避けるためにも、お子さんの学習状況に不安を感じるようなときは、まず、子どもの発達に関する専門家に意見を求めるのがよいと思います。
適切なフォローを行えば成績が大きく伸びることも
先に挙げた私の教え子の例のうち、上位校に合格したある生徒は「図形を書くことが困難」であることが幼少期の段階で判明しました。
そのためお母様は特殊な教材を使用して訓練を積ませ、また私の受験指導時には「図形描画の厳密性を求めない」「言語による詳細な解説をおこなう」などの対応をしたところ、算数を含めて成績をグングンと伸ばし、最終的には「難関中」と呼ばれる私立中学に合格・進学しました。
また別の生徒は、小さい頃に「人と社会的関係を結ぶことが苦手」であるという診断結果が出て、低学年の時には支援学級に通っていたといいます。
けれど、保護者の方の適切な対応があったことや、私も国語の指導において個別に対話形式で指導を行った結果、こちらも国語を中心にみるみる学力を高め、都内の難関中に合格・進学することができました。
いずれのケースにおいても、保護者の方が早期にお子さんの「困難さ」に気付き、専門家の診断が下った後も落胆して諦めてしまうことなく、きちんとその事実を受け止め、適切な対応を取ったことが、大きく結果に影響しました。
「学習に関して何らかの困難を抱えている子」の場合、他の子ども達に比べ、理解するのに時間がかかったり、集中力が途切れがちだったりするために、保護者の方も「どうしてこんなこともできないの?」「お兄ちゃんは同じ時期にもっとできたのに」「こんなんじゃどこも受からないよ」とイライラしたり、過度に不安を感じたりしてしまうこともあります。
こうした問題が大きくなりそうな場合は、中学受験はより慎重にご判断されたほうが良いかもしれません。
しかし、その困難をカバーするサポートを適切に行うことができるなら、中学受験は決して無謀な戦いではありません。
中学受験を経て入学することになる私立中学のなかに、地元の公立校と比べてよりお子さんに合いそうな学校が見つかる場合は、なおのこと意味のある戦いといえるでしょう。
先に挙げた私の教え子の例のうち、上位校に合格したある生徒は「図形を書くことが困難」であることが幼少期の段階で判明しました。
そのためお母様は特殊な教材を使用して訓練を積ませ、また私の受験指導時には「図形描画の厳密性を求めない」「言語による詳細な解説をおこなう」などの対応をしたところ、算数を含めて成績をグングンと伸ばし、最終的には「難関中」と呼ばれる私立中学に合格・進学しました。
また別の生徒は、小さい頃に「人と社会的関係を結ぶことが苦手」であるという診断結果が出て、低学年の時には支援学級に通っていたといいます。
けれど、保護者の方の適切な対応があったことや、私も国語の指導において個別に対話形式で指導を行った結果、こちらも国語を中心にみるみる学力を高め、都内の難関中に合格・進学することができました。
いずれのケースにおいても、保護者の方が早期にお子さんの「困難さ」に気付き、専門家の診断が下った後も落胆して諦めてしまうことなく、きちんとその事実を受け止め、適切な対応を取ったことが、大きく結果に影響しました。
「学習に関して何らかの困難を抱えている子」の場合、他の子ども達に比べ、理解するのに時間がかかったり、集中力が途切れがちだったりするために、保護者の方も「どうしてこんなこともできないの?」「お兄ちゃんは同じ時期にもっとできたのに」「こんなんじゃどこも受からないよ」とイライラしたり、過度に不安を感じたりしてしまうこともあります。
こうした問題が大きくなりそうな場合は、中学受験はより慎重にご判断されたほうが良いかもしれません。
しかし、その困難をカバーするサポートを適切に行うことができるなら、中学受験は決して無謀な戦いではありません。
中学受験を経て入学することになる私立中学のなかに、地元の公立校と比べてよりお子さんに合いそうな学校が見つかる場合は、なおのこと意味のある戦いといえるでしょう。
お子さんの知能や発達に不安を覚えたらどうすればいい?
ここまで読んで、なんとなく、わが子の学習能力や知能に不安を感じはじめた、という方もいらっしゃるかもしれません。
子育て中に、わが子の学習能力や知能に不安を感じたことが一度もない、という親御さんはむしろ少数派ではないでしょうか? ですので、不安を覚えたからといってすぐに行動しろということではありません。
しかし、本格的に不安を覚えて、なにか対処したいとご希望の場合は、発達の専門家に相談されるといいでしょう。
たとえば、お子さんが「学習に関して何らかの困難を抱えている子」かどうかを判断する方法として「WISC検査」というものがあります。
WISC検査は学力の構成要素である「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリー」の4つの指標とIQ(知能指数)を数値化するものです。
その子の抱えている学習上の困難を見つけ、その子にとってより良い支援の手がかりを得るきっかけをつくることを目的として行われます。
その子の「特性」がわかれば、保護者の方がイライラしたり不要な不安を抱えることもグッと少なくなると思います。親として適切なサポート方法を知るヒントにもつながりますしね。
もしもお子さんの学習状況に関して何か気になる点をお持ちでしたら、こういった検査を通してアシストするのもひとつの手でしょう。
まとめ
中学受験は親子にとって負担の大きいものです。
「周りが始めているから」「うちも始めないと乗り遅れそう」といった理由で何となく始めるのではなく、ご家庭の状況やお子さんの特性を見極めながら、リスクも理解した上で始められるのがよいでしょう。
中学受験は「必ず通らなければならないルート」ではないのですから。
けれど、「中学受験に向いていない」という子はいないと私は考えています。
受験が迫ってくれば、状況を見て撤退を決断すべきタイミングは存在します。
しかし、低学年の今は、行きたいと親子ともに思える学校が通学可能範囲にあるかを探しながら、志望校が見つかったときにチャレンジする選択肢を持てるように、お子さんの学習意欲を穏やかに育んでいくべきタイミングではないかと思います。
※中学受験ナビの連載『低学年のための中学受験レッスン』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。
https://katekyo.mynavi.jp/juken04/08 07:15
マイナビウーマン子育て