派遣で働く理由、「正規の職員の仕事がないから」を僅差で押さえてトップとなったのは?派遣労働者のホンネ調査

全国の男女10,978人の派遣労働者を対象に調査

子育て世帯の中には、子育てとの両立のしやすさから派遣社員として働いている人も多いのではないでしょうか。正社員と比べて生活に合わせた働き方を選びやすいメリットがある派遣社員ですが、実際の本音も気になるところ。そこで今回は、厚生労働省が派遣労働者を対象に実施した調査の結果から、派遣労働者のリアルな声をご紹介します。

なお、この調査は全国で派遣労働を行っている男女10,978人を対象に行われ、7,119人から有効回答を得ています。回答者の年齢は「45~49歳」と「50~54歳」がともに15.8%、「35~39歳」が14.0%と、30代後半から50代前半が多くなっています。性別では男性は30代が多い一方、女性は40代から50代前半が多いのが特徴です。

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性、年齢階級別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

派遣業務の種別は「一般事務」がトップ

現在行っている派遣業務の回答を見ると、全体では「一般事務」が最も高く35.2%でした。次いで「物の製造」が19.1%、「その他」が14.6%と続いています。これを性別で見てみると、男性では「物の製造」が最も多く27.5%、次いで「その他」16.0%、「一般事務」が15.9%。一方、女性では「一般事務」が50.8%と約半数を占めました。男性でトップとなった「物の製造」については、女性は12.3%でした。

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性、現在行っている派遣業務別派遣労働者割合(上位10業務)
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

約4割が「今後は派遣以外」を希望

次に、今後の働き方に対する希望を聞いた結果を見てみましょう。現在のまま、「派遣労働者として働きたい」という人は34.2%。一方、「派遣労働者以外の就業形態で働きたい」という人は37.0%でした。僅差ではありますが、派遣労働とは違う働き方を希望している人の方が多い結果となりました。

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性・派遣の種類、今後の働き方の希望別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

また、「派遣労働者以外の就業形態で働きたい」人が希望する今後の働き方としては、「正社員として働きたい」が74.3%と圧倒的多数を占めました。そのほかとして、「パート等の正社員以外の就業形態で働きたい」は15.9%、「期間の定めのない労働契約により働きたい」は13.9%となっています。

これを性別で見てみると、女性の場合は正社員を希望する人が男性より少なくなっており、「パート」や「期間の定めのない」働き方を希望する人も2割近くに及びました。

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性・派遣の種類、今後の働き方の希望別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

派遣労働に就いている理由は二つが拮抗

先ほど、派遣労働以外の仕事を希望する人の方が若干多いという結果が見られました。そこで気になるのが、派遣労働者として働いている理由です。

その主な理由としてあがったのは「自分の都合のよい時間に働きたいから」(30.8%)と「正規の職員・従業員の仕事がないから」(30.4%)でした。このことから、必ずしも派遣労働を積極的に選んでいるばかりではなく、消極的な選択の結果であるケースも少なくないことがうかがえます。

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性、派遣の種類、派遣労働者として働いている理由別派遣労働者割合
厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」より

男女で開きの見られたものとしては、「自分の都合のよい時間に働きたいから」、「家計の補助・学費等を得たいから」、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」で、いずれも男性より女性のほうが10ポイント以上多くなりました。また、その反対に「専門的な技能等をいかせるから」は男性が女性に約17ポイントの差をつけて多くなっています。

家庭での役割分担がここに影響していることが想像される結果です。

まとめ

現在、派遣労働をしている人の3割以上は現在の働き方に満足している一方で、派遣労働以外の働き方を求めている人も同程度以上いることがわかりました。派遣社員ではなく正社員として働きたいと思っている人はやはり多いようです。正規雇用の職が見つからないため派遣労働者として働いている場合も少なくありませんでした。その一方で、女性に特徴的なこととして、家庭の都合を踏まえて自由度の高い派遣労働を選んでいる人が男性よりも多いという結果が見られました。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■令和4年派遣労働者実態調査の概況/厚生労働省
派遣労働者調査:調査対象数 10,978人、有効回答数 7,119人
調査対象:全国の日本標準産業分類に基づく16大産業*にて派遣労働を行っている男女
調査時期:2022年10月13日~11月30日

*日本標準産業分類に基づく次の16大産業(平成25年10月改定)
「鉱業,採石業,砂利採取業」、「建設業」、「製造業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業(その他の生活関連サービス業のうち家事サービス業を除く。)」、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」、「複合サービス事業」、「サービス業(他に分類されないもの)(外国公務を除く)」

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