「有名人なりすまし広告」の類に“騙されやすい度”をチェックしてみよう

誰もが騙される可能性がる(イメージカット)

 高度な情報化、の副産物が詐欺だとしたら悲しい話である。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

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 よくもまあ、次から次へと新しい手口を考え出すものです。「まるでモグラたたきのように」と書きかけましたが、そういえば最近、その比喩を見なくなりました。もしかしたら若い人たちは、言葉の元になったゲーム機を知らないかもしれませんね。

 話がそれてすみません。モグラたたきに例えたかったのは「詐欺の新しい手口」です。このところ話題になっているのが、フェイスブックやインスタグラムでの「有名人なりすまし広告」。うっかりクリックすると、LINEグループに誘導されて、そこから「絶対に儲かる投資話」を勧められ、まんまとお金を振り込んでしまう……という流れのようです。

 さんざん問題視されて、政府が対策に乗り出したり運営会社を相手取った訴訟がいくつも起こされたりした影響か、この2、3日、急に見なくなった印象があります。しかし、油断は禁物。またすぐに手を変え品を変え、新手の詐欺広告が登場することでしょう。

 実際、怪しい外国人の美男美女からの友達申請や、ウサン臭い美容系とか健康食品系とかの広告は、あいかわらず跳梁跋扈しています。いわゆる「オレオレ詐欺」や、ネットワークビジネス系の「副業詐欺」も、さんざん被害が報道されたり「こういう話は危ない」と警鐘を鳴らされているのに、なくなる気配はありません。

 私たちは常に詐欺師に狙われているし、誰もが騙される可能性があります。大切なお金を騙し取られて泣くことにならないために、十分な警戒心を持っておきたいもの。まずは、「有名人なりすまし広告」などSNSを使った詐欺に対して、自分はどのぐらい「危険な状態」にあるのかを探ってみましょう。

 長いSNSウオッチ歴と定説と独断を凝縮して、その手の詐欺に対する「騙されやすい度チェック」を作ってみました。次の7つの項目のうち、あなたの気持ちや行動に当てはまるものはいくつありますか。数えながらお読みください。

【SNSなどの詐欺広告に騙されやすい度チェック】

(その1)「どんな手口だろうと、自分は絶対に騙されない」という自信がある

(その2)ネットで有名人の名言や美談を知ると、友人や同僚にも教えたくなる

(その3)いつか、知る人ぞ知る「うまい話」と出会えるチャンスがあるはずだ

(その4)飲食店を探すときに「食べ○グ」の点数を重視するのは当たり前だ

(その5)「最後の1個」や「今だけの限定品」と言われると買ってしまいがち

(その6)よくわからないけど、なるべく早く「新NISA」とやらを始めたい

(その7)「こんなテストは信用できない。エビデンスを示せ!」と感じている

YESが6個以上のあなた……騙されやすい度99%です。もはや、いつか騙されるのが宿命と言っても過言ではありません。大金を動かすときは、必ず身近な人に相談しましょう。

YESが2~5個のあなた……騙されやすい度50%です。より念入りに「SNSでおいしそうな話の広告を見たら泥棒と思え」という基本的な原則を自分自身に言い聞かせましょう。

YESが0~1個のあなた……騙されやすい度20%です。でも、安心してはいけません。「まさかあの人が」という人が騙されてしまうのが、詐欺師の恐ろしさであり人間の弱さです。

 それぞれの項目について、簡単に解説しましょう。

(その1)「どんな手口だろうと、自分は絶対に騙されない」という自信がある

 こういう人こそ、詐欺師にとってはいいカモ。「○○さんだったらご理解いただけると思うんですが」などとおだてられると、あやしい話を信じ込んでしまいます。

(その2)ネットで有名人の名言や美談を知ると、友人や同僚にも教えたくなる

 有名人という権威に弱く、権威のかさを着て自分を大きく見せたい気持ちの表われに他なりません。まさに「有名人なりすまし広告」のターゲットど真ん中です。

(その3)いつか、知る人ぞ知る「うまい話」と出会えるチャンスがあるはずだ

 たぶんどこかにはあるんでしょうけど、その「うまい話」が自分に転がり込んでくると思うところが、素朴すぎるし図々しすぎます。

(その4)飲食店を探すときに「食べ○グ」の点数を重視するのは当たり前だ

 これも、権威やネット情報に無意識にひれ伏す体質であることを示しています。

(その5)「最後の1個」や「今だけの限定品」と言われると買ってしまいがち

「千載一遇のチャンス!」と思って興奮すると、冷静な判断力を失ってしまいます。

(その6)よくわからないけど、なるべく早く「新NISA」とやらを始めたい

 自分でちゃんと調べる意欲もスキルもないまま、得だ得だと煽り立てる情報に踊らされて焦っている人は、詐欺師の最大のお得意様です。

(その7)「こんなテストは信用できない。エビデンスを示せ!」と感じている

 はばかりながら、信用できないに決まってるし、エビデンスなんてありません。「しょせんお遊び」と気楽に読めないのは、気持ちの余裕のなさや頭や心の柔軟性のなさの表われ。まさに、詐欺師に騙されやすい状態です。何かというと「エビデンスを示せ!」と言いたがる人は、詐欺師にそれっぽいエビデンスを示されたら簡単に信じてしまうでしょう。

 そんなわけで、チェックテストの結果はさておきとして、どなたさまも詐欺にはくれぐれもお気をつけください。「いちばん騙されやすそうなのは、こんなチェックテストを作ってわかった気になっているお前だ!」という鋭いツッコミは、甘んじて受け入れます。ただ、そもそも騙されて取られる元手がないので、その点では安心なんですけど(泣)。

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