元組長が作る絶品ジャージャー麺 330円グッズを使うみじん切りのこだわり

「ジャージャー麺なら、俺が作った方が旨い」(イメージ)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団対策法や暴力団排除条例の施行とともに、あまり足を運べなくなったゴルフ場での思い出と、そこのクラブハウスより旨く作れるというジャージャー麺について。

【写真】涙が出るタマネギのみじん切り

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「ゴルフ場で食べたのが旨くなくてさ。俺がちゃちゃっと作った方が絶対に旨い」と、元組長は広々としたグリーンを背景に赤と白でコーディネートしたゴルフウェアに身を包み、ゴルフクラブを握っている写真を見せてくれた。自分が作ったほうが絶対に旨いと力説したのは”ジャージャー麺”だ。「そう言ったら、テーブルにいた友人が俺たちも食べたいというから作ってやったら、みんな旨い!ってさ」とニコニコ顔だ。

 ところで、ヤクザがゴルフに行って困ることがある。プレイ後に入るお風呂だ。ゴルフ場に限らず、日本では銭湯も温泉もプールでも、刺青をしている人の入浴はお断りが原則だ。アスリートやアーティストがファッションで入れるワンポイントのタトゥーぐらいなら、絆創膏で隠せば入れないこともないだろうが、背中から腰まで彫られた刺青はさすがに隠しようがない。

 ひと昔前は、暴力団組織がゴルフ場を貸し切って大掛かりなコンペを開催していた時もあった。ゴルフコンペに誰が参加するのかを確認するため、向かう車のナンバーや顔ぶれをチェックしようと、最寄りの高速道路の料金所付近には早朝から何台もの覆面パトカーが並んでいた。当時はどの組にも所轄の刑事が担当で付いており、組の動向を把握したり、新しい情報を得るため、組長らとお茶を飲んだり、事務所に出入りしていたものだ。

 コンペに参加し1ラウンド終えれば、汗をかくので、お風呂に入る。ガラリと引き戸を開けたお風呂場は右を見ても左を見ても、色鮮やかな刺青から渋い筋彫りの刺青まで、それこそ自慢の”紋々”を入れた背中が洗い場にずらりと並んでいた。風呂場でも上下関係はきっちりしており、洗い場に座る場所でその関係がわかる。下の者は上の者の背中を流し、やくざ同士が裸の付き合いをしていた。客人として行けば、上下関係は関係なく、洗い場の空いた所に座るので、運がいいのか悪いのか、タイミングによっては組長の横に並ぶことになり、ゴルフより風呂場の方が緊張することになった。

 暴対法に暴排条例ができてからは、それまでのようなコンペの話はまったく聞かなくなった。さらに暴力団関係者の利用禁止をうたっているゴルフ場が現在では大半で、たとえゲストであっても暴力団関係者だということを伏せて利用すると詐欺罪に問われる。「元」がつけばもちろん、現役と違って利用が可能な場面は増えるが、関係者だとみなされて利用が難しいことが少なくない。

 ゴルフコースを回れる時には、背中に刺青のあるヤクザは、お風呂に入らず着替えもせず、さっさとゴルフ場を後にする。「ゴルフクラブのメンバーになるのは無理だし、稼業の人間と行くこともないが、、堅気の友人たちに誘われゲストでプレイできることもあるからね。汗をかいても背中が透けて見えないよう、ウェアには気をつけている」という元組長は、なかなかオシャレだ。

ひき肉は特売の安い物で十分

 話をジャージャー麺に戻そう。作り方は、手軽に作れるものしか作らないという元組長だけあって簡単だ。材料は中華麺3袋に対し、具材はひき肉150gに、シイタケ、たけのこ、玉ねぎか長ネギを適量、味付けにはオイスターソースを小さじ1/2、甜麺醤が大さじ2、砂糖小さじ1/2、塩少々、香味シャンタン小さじ1/3、片栗粉小さじ1.5、ラー油とゴマ油がそれぞれ小さじ1/3、それに水100cc。

「中華麺は3袋180円くらいの安い物で十分。組の賄い飯は質より量だから、安い物でもいかに美味しく作るかが腕だったからね」今でも、できるだけ安い物を選んで買うという元組長は、スーパーの食材の値段をよく知っているし、業務用スーパーにもよく足を運ぶという。

 前回、紹介した牛丼などは「本当に美味しいのは、ぺらぺらと薄っぺらい、削りカスみたいなバラ肉だ。ちょっといい肉を使おうものなら、脂身が多くてうまくない。ジャージャー麺のひき肉も安い物、特売の安い物で十分だ」

 中華麺は茹でて水を切り、そこにサラダ油をほんの少しだけ垂らし、麺どうしがくっつかないようまぜておく。「しいたけとたけのこ、玉ねぎは”ぶんぶんチョッパー”でみじん切りさ。玉ねぎではなく長ネギにするなら、緑の部分はみじん切りで具材と混ぜ、白い部分は細長く切って白髪ねぎにする。盛り付けの時、肉みその上に乗せると見栄えがいい」

 ぶんぶんチョッパーは、K&Aが発売するハンドルを引くだけで野菜などのみじん切りができる便利調理グッズ。元組長はぶんぶんチョッパーと言っているが、実際使っているのは別物。他社からも似たような仕組みのみじん切り器が複数、発売されており、中でも元組長のお気に入りは、ダイソーで買ったというハンドル野菜カッター(330円)だ。

「これさえあれば、みじん切りもあっという間で手間いらず、マジに便利だよ。組の当番では、包丁を使って時間をかけてみじん切りをしていたが、用意する量によっては、これが意外と面倒でね。玉ねぎをいくつもみじん切りしなければならない時は、泣きながらやっていた。他の事では泣かないヤクザも、玉ねぎには泣かされるんだ。今はこれさえあれば、玉ねぎも怖くない」と笑う。

「みじん切りの大きさはお好みでと言いたいところだが、これを見せると若い者も店の女の子も、ハンドルを引っ張ってぶんぶんやりたくなるらしい。気をつけないとすぐに具材が粉々だ。粗みじんがいいならハンドルを引くのは10回ほどだが、食べやすいのは13~14回。メーカーによって使い勝手も切り口も違うから、ハンドルを引く回数は、具材の切れ具合を見ながら自分で調節すればいい」

「フライパンに油を入れて中火で肉を炒め、シイタケとタケノコ、玉ねぎを加えて炒める。炒まったら水を入れ、味付け調味料をそこに投入。フライパンの火を止め、水溶き片栗粉を加え、再び火をつけて混ぜ、とろみを出す。肉みそができたら、そこにラー油とゴマ油を入れ香り付けをする。器に水切りしておいた麺を入れて、肉みそをかければ完成。白髪ねぎがあれば、肉みその上にちょんと乗せて盛り付けのアクセントに」

 味付けが物足りない時は、オイスターソースで調整するのがといいと元組長。「万能調味料にはシャンタンの他に、ウェイパーや香味ペースト、鶏がらスープの素などがあるけれど、ジャージャー麺にはシャンタンが合う。他より塩味が強いからね」

 付け合わせに作るのは、キュウリとショウガの漬物だ。「ショウガは業務用の刻みショウガ、これを大さじ3杯。軽くフライパンで炒める。そこにみじん切りにしたキュウリ1本を入れ、これも軽く炒める。フライパンから取り出して器にいれ、白だし大さじ1、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2、酒大さじ2を入れて混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やすだけ。食べる時に器に盛って、上に白ごまを散らす。簡単だけど、これが旨いんだ。卵かけご飯に乗せたら最高」

「食べた若い者がレシピを教えてくれというから、ラインで教えてやった」という組長。若い者に送ったというラインには、物騒なヤクザ情報の間に挟まれるように漬物レシピが並んでいた。

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