「だまされた!」「毎回泣く」スーファミソフトのトラウマボス3選

プレイヤー心理を利用したラスボス配置に完敗

パッケージを見るだけでもワクワクする! スーパーファミコン版『クロノ・トリガー』(スクウェア)

パッケージを見るだけでもワクワクする! スーパーファミコン版『クロノ・トリガー』(スクウェア)

 1990年代は、ゲームの攻略本の発売が、ソフトの発売から数か月後ということもありました。ゲーム雑誌のわずかな情報を見つけたり、先にクリアした友達を探し出して聞いたりなど、攻略情報を集めるのもひと苦労でした。「ボスが強すぎて倒せない」「ダンジョンのワナから抜けられない」など、ゲームクリアに苦しんだ記憶がある人も多いのではないでしょうか。今回は、スーパーファミコンの名作に登場し、プレイヤーの心にトラウマを植え付けたボスキャラを振り返ります。

●『クロノ・トリガー』

『クロノ・トリガー』は、1995年にスクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売されたRPGです。同作の主人公「クロノ」は、未来の世界が「ラヴォス」と呼ばれる未知の生命体によって滅亡することを知り、歴史を変えるためにラヴォスと戦うことを決意します。クロノは仲間たちと現在、過去、未来をタイムマシーンで移動しながら、ラヴォスを倒すための準備を整えます。

 ラヴォスは虫のような姿をしていて、感情を示す「目」がないうえにセリフもありません。戦闘が進むと、巨大な腕を持つ宇宙人のような姿に変わりますが、やはり何も言わず、何を考えているのか分からない不気味な敵として、トラウマになっている人も多いボスです。

 ラヴォスとの最終決戦では、多くのプレイヤーが苦戦しました。理由は、画面中央の大きなキャラクターではなく、画面右側の小さなキャラクターが「ラスボスの本体」だったためです。左や中央のキャラクターを何度倒しても復活するため、苦戦する人が続出しました。プレイヤー心理を利用したラスボス配置に、当時は多くの人がまんまとだまされたのです。

●『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』

 1992年にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から発売されたRPG『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は、子供時代から親になるまでを描く、壮大なストーリーの名作です。プレイヤーが息子と父親、双方の視点を体験できることや、妻を選択して結婚できるシステムが話題となりました。

『ドラクエ5』の「絶対勝てない」トラウマボスといえば、たびたび「ゲマ」が挙げられます。ゲマ戦は「負けイベント」のため、どれほどレベルアップしていても、勝つことはできません。主人公は圧倒的な強さのゲマに敗北し、人質として囚われてしまいます。

 ゲマ戦に敗北すると、主人公の父親「パパス」が駆けつけますが、人質の息子を守るために一方的に攻撃されて命を落とします。ゲマ戦は、同作の最大のトラウマシーンともいわれており、「ゲマだけは許せん!」「何度見てもつらい」「毎回泣く」など、多くの人がこのボス戦をつらい思い出として記憶しているようです。

 また、ゲマがプレイヤーとの戦闘中に何度も笑ったり、こちらの様子をうかがったりすることも、挑発的で嫌味な敵という印象を強くしました。

「失敗したら最初から」「専用アイテム忘れた!」ボス戦で困惑した名作

ゲームボーイアドバンス版『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』(任天堂)

ゲームボーイアドバンス版『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』(任天堂)

●『ゼルダの伝説神々のトライフォース』

 1991年に任天堂から発売されたアクションアドベンチャーゲーム『ゼルダの伝説神々のトライフォース』には、アクションゲームならではの、プレイヤーを困惑させるような特徴を持つボスが登場します。

 序盤のボスでは、高速でステージ上を動き回る、ヘラの塔の「デグテール」が記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。プレイヤーは、デグテール本体に触れると弾かれるため、ステージ下に落とされることが多々ありました。下に落ちるとボス戦を最初からやり直しとなるため、「何度弾き落とされたことか」「ラスボスより苦戦した」「序盤にして最強のボス」などの声が見られ、苦戦に次ぐ苦戦を経験したことで、多くの人にトラウマとなったようです。

 巨大な亀の姿をしたボス「デグロック」も強敵でした。デグロックには、3つの頭があり、プレイヤーは青い頭にファイアロッド、赤い頭にはアイスロッドを使用して攻撃します。

 そのためアイテムを知らなかったり、アイテムを使うためのMP回復薬を忘れたりすると、ボス戦の開始と同時に「詰む」という厳しい設定がプレイヤーを苦しめた原因でした。「デグロックで魔力切れ」「アイスロッドを取り忘れていたからダンジョンを2周」など、キャラ操作以外の部分で苦戦するボスでもありました。

 攻略が難しいスーパーファミコンのボスを、クリアできたときの爽快感は特別なものでした。しかし、負けた悔しさを、子供心にしっかりと記憶している人も多いのではないでしょうか。「あのボスはトラウマ!」という記憶も、いまとなっては大切な思い出なのかもしれません。

(LUIS FIELD)

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