ゲームの「ボイス」はアリ? ナシ? メリットの一方「イメージと違った」問題も

ボイスはいいことばかりじゃない!? イイもワルイも再確認

追加要素として主人公たちにボイスが採用された『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』 (C)2017、 2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved. (C)SUGIYAMA KOBO

追加要素として主人公たちにボイスが採用された『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』 (C)2017、 2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved. (C)SUGIYAMA KOBO

 1988年に発売されたPCエンジン CD-ROM2でゲーム機のメディアにCD-ROMが使用されるようになって以来急速に広まり、今では当たり前のものとなったゲームボイス。基本的にはメリットが多いですが、時にはボイスが付いたことで歯がゆさを感じてしまうケースも見られます。ボイスがゲーマーにどのような影響や体験を与えてきたのかをあらためて振り返ります。

【メリット1】ムービーの登場や実況の実現

 まずは、シンプルにムービーシーンの実現を挙げましょう。ボイスが当たり前のものになったことでアニメや映画のような豪華ムービーがゲームでも楽しめるようになりました。

 声が付いてもうひとつ大きく変わったのは「実況」の登場です。筆者は1994年にスーパーファミコンで発売された『実況ワールドサッカー PERFECT ELEVEN』で初めてゲームでの実況を味わいましたが、そのリアルさに感動しながら遊んでいたのを今も思い出します。

 今日では「実在するスポーツのゲーム」の枠を飛び出しており、ウマ娘たちによる架空のレースが描かれるスマートフォンゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』や、2023年6月2日発売予定の対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』でも実況を楽しめます。

『スト6』は実況者のひとりとしてミュージシャン/マルチタレントであるデーモン閣下の参加も発表されており、どのように実況してもらえるのか楽しみです。

【メリット2】音声によるストーリーテリング

『スターフォックス』シリーズや『エースコンバット』シリーズ、『地球防衛軍』シリーズのようなミリタリー/SF色の強いゲームでは、プレイ中にリアルタイムで通信会話が展開します。

 プレイの手を止めることなく、そして目すら使う必要なく、キャラクター同士の掛けあいや通信という形でストーリーを楽しめるようになったのも大きなメリットですね。

『スターフォックス64』では、主人公フォックスの父・ジェームズとかつてチームを組んでいた仲間のペッピーが父と同じ言葉で新米リーダーのフォックスを鼓舞するシーンがあるなど、通信にもさまざまなドラマやネタが込められてきました。

【メリット3】音声によるインフォメーション

『テイルズ オブ』シリーズや『ゼノブレイド』シリーズのように、戦闘のアクション要素やリアルタイム要素が強いRPGでは、仲間が戦いながらかけ声や必殺技・スキルの名を叫ぶ姿が見られます。

 一見古風な演出に感じるかもしれませんが、技名を叫んでくれることで「耳だけで仲間がしっかり戦っているのを確認できる」ので、実はプレイの手助け、インフォメーションとしても機能しています。

 また、ニンテンドー3DSで展開された『新・世界樹の迷宮』シリーズは、迷宮内をショートカットできる隠し通路の近くを通りかかると仲間が声で「ん? 今のは…」というような違和感を表明してくれます。こういうのもプレイのテンポを阻害しない、優れた攻略のサポートといえるでしょう。仲間と冒険している感覚も強くなり、一石二鳥の演出です。

時には"解釈違い"が起きてしまうことも!?

容姿と声が固定された『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のルフレ

容姿と声が固定された『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のルフレ

 PCで展開される美少女ゲームが今よりもホットなジャンルとして注目されていた2000年頃は「家庭用ゲームに移植される際に初めてボイスがつく」ゲームもめずらしくありませんでした。

 そんな時、PC版を遊びつつ追加要素目当てで移植版も買う筆者のようなプレイヤーは、こう言ってしまうのです。「その声、イメージと違う…!」

 ボイスがない状態で物語を堪能することで、キャラクターの声のイメージが個々人のなかでしっかりできてしまうのが原因です。美少女ゲームにかぎらず、ニンテンドー3DSに移植されて初めてボイスが付いた『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』などでも(一部の人に)起きた現象です。

 また、2018年発売の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』は『ファイアーエムブレム 覚醒』のルフレが参戦しましたが、ルフレは本来、名前や性別に加えて容姿や声も複数パターンのなかから好きなものを選んでメイキングできるキャラクターでした。

 そういう出自を持つだけに、『スマブラ』参戦の発表時は「嬉しいけど、自分の知ってるルフレじゃない…!?」と喜びと戸惑いがないまぜになっている『FE』ファンの姿も(一部で)見られました。

【デメリット2】会話シーンのテンポが悪くなる

 今日はゲーム中のすべてのセリフにボイスが付いている「フルボイス」仕様のタイトルもめずらしくありませんが、RPGやノベルゲームなどでは、これによってテンポが悪くなりました。

 ボイスがないゲームは「能動的に(≒自分の好きなペースで)」テキストを読めますが、ボイスがあるゲームでそれを楽しもうと思うと「受動的に(ゲームによって決められたペースで)」声を聞かなければならないからです。

 マンガや小説は自分の好きなペースで読めますが、アニメや映画は決められたペースで見るしかない…という話にも似ています。とはいえ、今はボイスをオフにできるゲームも多く、デメリットとして存在したのも「今は昔」というところです。

【デメリット3】一部の叙述トリックが機能しなくなる

 2008年にニンテンドーDSで発売された『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』に登場する冒険者ギルド長は、全身を黒い鎧で覆い隠した剣士風の人物。歴戦の猛者なのだろうと思わせられました。

 しかし、ゲームを後半まで進めると実は凛々しい女性であると判明します。先入観でプレイヤーに謝った認識を抱かせる、小説でいう「叙述トリック」のようなものですね。

 しかし、本作がボイス付きでリメイクされた『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』では、ゲーム序盤から女性の声(ボイス)で話しかけてくるため、そうしたサプライズ演出ができなくなってしまいました。

 ゲームにボイスが付いたことによるメリットとデメリットを紹介しましたが、デメリットとして挙げた要素は今ではほとんど気にならないものが多いです。今後も、ボイスを使った新しい試みや体験が味わえるゲームが増えるといいですね。

(蚩尤)

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