猫マスターと猫好き漫画家が対談。猫が快適に暮らせるように心がけていること

猫を飼っている人、または猫が好きな人は多いでしょう。その愛くるしい見た目、時に甘えてきて、時にツンと突き放して、私たち人間をカワイイの沼に誘い、見ていると日々の疲れも癒されちゃいますよね。しかし、猫と本気で遊びたいがために、家まで建ててしまう人はあまりいない……いえいえ、そんな人もいるんです!

その名も響介さん。5匹の愛猫と暮らし、猫のために1億円の豪邸を建てた自他ともに認める「猫マスター」。今回は、そんな響介さんと漫画家で猫を2匹と犬を1匹飼っているちとせさんの対談が実現。二人の熱い“猫愛”話が止まりません!

平等にスキンシップを取ることが大事

――猫には飼い主しか知らない魅力もありますが、お二人が思う「うちの子の魅力」とは?

響介:全部!……って言っちゃダメなんですか、これ?(笑)。んー、僕に対してすごく人懐っこいところですかね。どこの部屋に行ってもついてきてくれて、胸の上でパタンと倒れてくれることもあります。

▲左から順にピーボ、ソラ、ニック、リュック、ポポロン(響介さんの愛猫たち)

ちとせ:響介さんを追いかけてまで撫でてもらおうとするのが、すごいですよね。

響介:「ご飯で釣っているんじゃないか」と言われることもありますが、本当に何もしていないんです。

ちとせ:撫でられたくて、手を狙っていますもんね。うちの場合は、人間との共同生活の仕組みを理解しているところです。うんちをしたら呼びに来て、どのトイレでしたか誘導してくれますし、私がお風呂に入るときは毎回鳴いて家族を呼びに行きます。毎日、水に落ちて可哀想と思っているのかも。

――響介さんは多頭飼い、ちとせさんは犬と猫の両方と暮らす、それぞれ愛猫が快適に暮らせるように心がけていることがあるそうですね。

響介:トイレは飼育頭数プラス1個用意するとか、基本的なことはもちろん気をつけていますし、それぞれの居場所を1~2か所ずつ持てるようにもしています。それぞれの居場所には、その子が好きなグッズも置いていますね。

ちとせ:うちも、お互いが心地よく暮らせるように、それぞれのスペースを確保しています。ねこちゃんと私しか入れない部屋がありますし、犬のボンとねこちゃんの共同スペースには50cmくらいのサークルを置いて部屋を2つに仕切り、ねこちゃんの意志で犬と関われるようにしています。

響介:おお! それは素晴らしいですね。

▲ちとせ家のボン(ミニチュアダックス)

▲ねこ(右)とねこのママ(左)

ちとせ:なんだかんだ、ねこちゃんは関わりに行きますが、喜ぶ犬に舐められては「ここまでは求めてなかった……」みたいな顔をしています(笑)。でも、ふたりはなかなかいいコンビだと感じますね。

響介:いい関係性ですね。あと、意外かもしれませんが、僕はあまり猫を抱っこしません。リュックの場合は関節が弱いので、もし何かあったらイヤですし、なんとなく、みんなにストレスを与えちゃうんじゃないかなと思って……。だから、猫のほうから体に乗ってこない限り、猫を持たない生活をしています。

ちとせ:他にも気をつけていることって、何かありますか?

響介:全員を平等な時間、撫でることです。ピーボだけは引っ込み思案で触られたくないタイプなので撫でる時間が短くなりますが、うちの猫はみんな嫉妬深いので、できる限り平等にスキンシップを取るようにしています。

ちとせ:そういう配慮は大事ですよね。うちは、犬のボンが年下属性の甘えん坊だったので、ねこちゃんは優しくて面倒見がいいお兄ちゃんになってくれましたが、私とふたりきりだと赤ちゃん返り。リュックくんの性格に似ているんですよ。

この話は漫画のほうが伝わりやすいかも

――響介さんは過去にもご自身の猫ライフを書籍化されてきましたが、今回の『借金1000万作曲家の人生を変えてくれた猫の話』(小社刊)は初の漫画化ですね。

響介:そうなんです。僕は自分の人生をそのまま話しただけですが、ちとせさんから送ってもらえるネームを読むのが、毎回すごく楽しみで。例えるなら、『週刊少年ジャンプ』の発売日を待っているような感覚でした。

ちとせ:うれしいです! 私は漫画制作のお話をいただいたとき、猫ちゃんたちの個性をちゃんと描くことはもちろん、響介さんは完璧そうだから、猫が絡むと頭が弱くなっちゃう描写や、猫を前にしたときのヤバい笑顔をあえて足し、キャラクター化しようって決めていました。漫画は登場人物に好感が持ててこそ、共感が生まれると思っているので。

響介:なるほど。そうだったんですね。

ちとせ:でも、実際にお話ししたら、本当にそういう方で(笑)。ネームのチェック時にも「もっとアホっぽく」とか言ってもらえたので、作中ではよだれも出させちゃいました。

響介:よだれは猫を前にすると実際に出ているので、全く問題ないです(笑)。ただ、僕のことを描いていて楽しいか、シンプルに心配でした。

▲「作中ではよだれも出させちゃいました」byちとせ

ちとせ:最初は不安もあったんですが、誰かの人生を描くことってそうそうないですし、響介さんはどう転んでも魅力的な人なので、すごく楽しかったですよ。

響介:僕は自分がイカれたヤツだという自覚がありますし、結構ヤバい人生を送ってきているので、どんなにヤバいキャラになっても面白ければいいという気持ちがありましたが、ちとせさんが描いてくださったキャラデザインが良すぎて感動しました。あのキャラなら、たぶん何をやっても許されると思います(笑)。

ちとせ:そう言ってもらえてうれしいです。でも、そんな想像をしていたのなら、もっとヤバくしてもよかったってことですかね(笑)。

▲響介さんのキャラデザイン案

――漫画を制作するなかで、ちとせさんには気になったことがあったそうですね?

ちとせ:響介さんは日々、ブログを更新されていますが、今回の漫画化を経て「この話は漫画のほうが伝わりやすいかも……」と思ったエピソードって何かありましたか?

響介:ありました! この話はブログで記事にしているんですけど、一度、ソラが突然、寝ているポポロンの頭を思いっきり叩いたことがあって。ポポロンが起きてもソラは「もう一発いくからな」みたいな顔してたんですよ。

ちとせ:なんですか、その状況!(笑)

響介:これは絶対にブログで伝えたいって思ったんですけど、叩く瞬間の写真はもちろん撮れていなかったので、絵で描いて伝えることにしたんです。でも僕、エグいくらい絵が下手なので、「絵が酷すぎて内容が入ってこない」っていうコメントだらけの記事になっちゃいました。

▲ニックの絵(作:響介)

ちとせ:でも、それはそれで強みでは? 響介さんの絵がひとつのコンテンツになったということですし(笑)。

響介:いやいや、何も伝わらないブログになってしまいました(笑)。あと、僕は普段、寝ている愛猫たちの横で暴走して勝手に喋っていることもあるので、そういう日常も漫画にできたら面白いかもしれませんね。

ちとせ:そういえば漫画に描いたんですが、季節によってポポロンがいる階段の高さが変わるのも面白いですよね。

響介:そうなんですよ。ポポロンは暑くなるにつれて、だんだん上に上がっていきます。部屋の温度は気温に合わせて、自動で年中一定になるようにしていますが、猫の体格や性別によっても心地いいと感じる温度は違うので、快適な空間へ自由に移動できるように涼しい部屋や暖かい部屋、ひんやりできる部屋を作っています。


〈古川 諭香〉

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