アクティブな88歳祖母と30歳孫の田舎暮らし。野菜が育つと「かわいいねえ」と言いながら一緒に収穫

お姑さんのさくさんに畑仕事を教わった美江子さん。よく「お義母さんのようにうまくできん」とつぶやいている。(写真:『TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方: 家づくり、畑仕事、日々の料理、おばあちゃんとの時間』より。以下すべて)
総務省が公表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、2023年の東京都の転入超過数は6万8285人だったそう。このような状況のなか、愛知県額田郡幸田町出身の映像作家・高須亮佑さん(「高」は正しくは「はしごだか」)は、100年続く家業の瓦屋「高須製瓦」の屋号を引き継ぎ、自身のYouTubeチャンネル「TAKASU TILE」で田舎暮らしを発信しています。そこで今回は、高須さん初の著書『TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方: 家づくり、畑仕事、日々の料理、おばあちゃんとの時間』から、一部を抜粋してお届けします。

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【写真】大きな畑で畑仕事をする高須さん。「土を耕し、種をまき、水をやり、野菜を収穫する。そのすべてがたまらなく楽しい」

楽しくて仕方がない畑仕事 かわいい野菜とおばあちゃん

今でこそ僕の生活の中心にある畑だが、実を言うと昔はあまり興味がなかった。

畑は祖母である美江子さんが日々試行錯誤して作り上げている大切な場所で、僕が勝手に踏み込んでいい領域ではないと思っていた。

今から5年くらい前、足腰が少し弱ってきた美江子さんから「ちょっと手伝ってくれん?」と声を掛けられた。

それから少しずつ畑にお邪魔して手伝うようになり、気づいたら夢中で土をいじるようになっていた。

畑仕事は筋トレと似ていると思う。野菜も筋肉も、やればやるだけ成果が見える。

畑仕事の師匠

畑仕事の師匠はもちろん美江子さんだ。

その指導法は昔ながらの「見て盗め」スタイル。

『TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方: 家づくり、畑仕事、日々の料理、おばあちゃんとの時間』(著:高須亮佑/誠文堂新光社)

見よう見まねで畝を作ると、「私、そんなことやった?」と、目の前で直される。

こんな感じかなと思って種をまくと「それじゃ間隔が狭い」と叱られる。

でも、プリプリしている美江子さんを見るとちょっと笑っちゃう。

うまく野菜ができると、2人で「かわいいねえ」と言い合いながら収穫する。

これだから畑仕事はやめられない。

無邪気でアクティブ 美江子さんってこんな人

美江子さんは御年88歳。朝は7時に起きてベッドの上で両手両足を上げてプルプルさせる体操をする。

顔を洗い、NHKの朝ドラを見ながら朝食をとり、畑でひと仕事。昼になると、朝ドラの再放送を見ながら昼食をとる。

美江子さんは面食いなので、好きな俳優は山崎育三郎さん。亡くなった夫、悟(さとる)さんのことを「私と違って顔がいい。よくもらってくれたなあ」と口にする。

僕の顔を見ながら、「亮ちゃんは、わりかし私に似とるでなあ」と言いながら、「亮ちゃんがいちばんかわいい」と言う。「うん?ほめてる?」と思いながら、「ありがとう!」と返す。

美江子さんの好奇心

美江子さんは好奇心の塊だ。

妻の由貴奈さんが歯医者に車で迎えに行ったときのこと。しきりに「あの子に話し掛けれんかったなあ」と悔やんでいたという。

話を聞いてみると、待合室でピンク色の髪の毛をしたおしゃれな女の子がいて、いつ話し掛ければいいかなあと迷っていたら、その子が帰ってしまい、結局話し掛けられなかったそう。「あのとき話せばよかったなあ」と、未だに残念そうにしている。

87歳で運転免許証を返納するまでは、買い物、病院、友人宅と、どこでも1人で車を運転して出掛けていた。

あるとき、新しいインド料理店ができたと話題にすると、「ああ、あそこ入ってみたよ」とさらっと言う。お店ができてすぐに行って食事をしたそうだ。

そんなアクティブおばあちゃんなので、免許を返すと決まったときは寂しそうだった。

最初は絶対に嫌だと言っていたが、時間をかけて家族みんなで説得し、最後は父のひと押しで観念した。

免許を返納した今は、弟のよっちゃん(84歳)に車を出してもらい、よく一緒にカフェに行っている。

※本稿は、『TAKASU TILE 自分をHAPPYにする暮らし方: 家づくり、畑仕事、日々の料理、おばあちゃんとの時間』(誠文堂新光社)の一部を再編集したものです。

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