SNSで人気のシンプルな部屋に憧れていた。40代を前に「誰かのマネ」から「自分の好きが詰まったインテリア」に変えることを決意して
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【写真】namytoneさんが何度も吟味してお迎えしたラグ。趣味や価値観が変わっても、「その時、心の底から納得して選んだもの」という記憶を刻んでくれる
誰かのマネから「自分で在るための場所」作りへ
今の部屋に引っ越す前は、Instagramで人気の無印良品の家具を使ったシンプルで統一感のあるお部屋の投稿に憧れ、インテリアを揃えていました。
当時の私はとにかく毎日が忙しく、効率重視で暮らしていたので、無印良品の無駄のない家具は自分に合っていました。
でも、年齢を重ねるうちに、何か引っかかりを感じるように。
誰かのマネをしたインテリアでしたから、ホテルや人の家にいるような感覚を覚え、「家の中に自分というもの」を感じられず、どこか落ち着かなかったのです。
そして3年前、今の物件に引っ越すタイミングで、「よしっ、自分を感じられる部屋にしよう!」と決意しました。
体調を崩し、コロナ禍が重なったこともあって、「家で過ごす自分」を大切にして、効率よりも自分らしく生活することに重きを置こうと思うようになったのです。
また、人生一度くらい自分の「好き」と向き合って、思い切り部屋を作りたい気持ちがどこかにあったのかもしれません。
自分の「好き探し」をする
そこで、インテリアの雑誌や本を読んでは、自分の「好き探し」をしました。
特に好きなのは、石田ゆり子さんの部屋。
そこには名前のない家具や置物などがたくさんあり、旅先で出会い恋をするように買ってくるのだとか。
「どこで・いつ・なぜ買ったのか」を大切にされているんだなと感じました。
忙しい日々を過ごしているからこそ、優しい空気が漂う、そんなおうちに近づけたらなぁと思ったのです。
辿り着いた「好きが詰まった家」
もうひとりは、内田彩仍さんの部屋。
北欧インテリアや雑貨などを知るきっかけをくれたのは内田さんでした。年齢も少し先輩なので、これからの自分とリンクさせている部分もあるのかもしれません。
大好きなお二人の暮らしを勉強しつつ、辿り着いたのが北欧のヴィンテージ家具。
北欧の人々が、「家具が年月を重ねることは、古く色あせるのではなく、新品にはない魅力や価値を増していくもの。経年変化は、成長と発展」と捉えていることにも感銘。
無理をして節約したり、欲しいものや好きなものをがまんしたりするのではなく、“すでにあるもの”を大切にして価値を高めていく。
それは、自分自身の歳の重ね方とリンクする部分なのかも、と思ったりしています。
好きが詰まった家は、「自分が自分で在るための場所」。
ここがあるから、明日がもっと楽しみになり、仕事にもパワーを注ぐことができています。
ラグ、器。好きなものから心の栄養をもらう
40代に向けて、身軽に暮らそうとものを減らしてきました。一方で、「好き」なものは減らさなくていいと思っています。
例えば、石田ゆり子さんの赤いラグのあるスタイルに憧れてお迎えしたラグ。
東京のお店から何枚もラグの写真を送ってもらい、ウキウキしながら部屋に敷く想像を膨らませ、お店にも足を運びました。
購入したラグを敷くと、ラグの伝統的な柄とヴィンテージ家具の趣きがうまくまとまり、調和のとれた自分らしい部屋に近づきました。料理でいうとスパイスのような……。
「なくてもいいけど、好きだから持つ」ことは、自分自身を認めてあげることになる気がしています。
また、我が家にはたくさんの器があります。
へとへとで帰宅した時も、買ってきたお惣菜をちゃんと器によそってから食べよう。そんな気持ちにさえさせてくれる器。
だから、器は間に合わせで揃えることはしないと決めています。
たかがお茶漬けでも、お気に入りの器に盛れば、見え方も変わりますし、心にまで栄養を与えてくれます。
持つことで心の温度がグッと上がり、健康になれる器たちです。
※本稿は、『人生は折り返し地点からがきっとたのしい』(インプレス)の一部を再編集したものです。
10/12 12:30
婦人公論.jp