月曜に疲れが出たならその旅程は「欲張りすぎ」かも…約500湯を巡った温泉オタク会社員流<一泊二日・温泉旅行の過ごし方>

一泊二日で「くつろぎ切る」のはそう簡単ではありません(写真提供:Photo AC)
訪れた温泉は約500湯、女ひとりで温泉を巡りまくっているという永井千晴さん。旅行情報誌編集部で働いた経験を活かし、現在は「温泉オタク会社員」としてブログなどで温泉情報を発信しています。その「温泉オタク会社員」こと永井さんが温泉の楽しみ方を紹介する当連載。今回のテーマは「『せっかくだから』の呪縛から解放されよう」です。

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【書影】永井さんおススメの温泉がこの一冊に!『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』

「せっかくだから」の呪縛から解放されよう

以前、知人たちと長野県へ一泊二日の旅行をしたときのこと。

善光寺観光をして、小布施(おぶせ)(栗の名産地)で栗スイーツを食べて、湖畔のペンションで一泊して、ショッピングして、おいしい信州そばのお店まで足を伸ばす……と移動も目的も盛りだくさんな旅行をして、結局お目当てだった日帰り入浴に浸かれなかったことがありました。

そのときは温泉がメインの旅行ではなかったのですが、「長野に来たのに温泉浸かれなかったね」と帰り道に後悔したことを覚えています。

そのときはグループ旅行だったのでとても楽しく過ごせたのですが、もしもこれがひとり旅だったら……と思うとゾッとします。

時間配分が肝

一泊二日旅行は、とにかく時間配分が肝。月曜日から金曜日まで仕事して、土日を使って行く温泉旅行であればなおさらです。

月曜日に旅行疲れが出てしまうようであれば、その旅程は“欲張りすぎ”だったかもしれません。

友達や家族との旅行であれば、疲れが出ても「楽しかったね」と分かち合えますが、ひとりなのに疲れてしまうような旅程を組むと、「あれ……? なんのために行ったんだっけ?」と、なんだか悲しい結末になってしまいます。

ただでさえ慣れない土地に行き、何時間か電車や車で往復し、体に馴染んでいない布団で眠るのですから、一泊二日で「くつろぎ切る」のはそう簡単ではありません。

サクッとひとり温泉をするときは…

よっぽど行きたいところでない限り、「せっかくだから」と一泊二日の限られた時間の中で旅程を詰め込むのは、体力の浪費、時間の無駄かもしれません。

特にひとり温泉旅行のときは、なるべく観光を諦めて、目的を絞ることをおすすめします。

すごく興味あるわけじゃないけどせっかくだから行っとくか、みたいな気持ちでひとり行く観光、心にあまり残らないんですよね。「行ってきた」体験だけを得て、X(Twitter)に書くぐらいしかやることないんですよ……。

私が土日にサクッとひとり温泉をするときは、とにかくだらだらした旅程を組みます。前述したアクティブ長野旅行の面影は一切ありません。

まず、朝。起床時間はいつもより遅め。9〜10時ぐらいにもそりと起きます。身支度を整え、充電器と着替えを持ち、11時には家を出られるといいな、ぐらい。レンタカーや電車で温泉地に向かいます。

温泉地への到着時間は14〜15時ごろが目標。ランチは電車なら駅弁、レンタカーならサービスエリアで済ませます。もしくは、食べたいものがあれば、現地でランチタイムぎりぎりにレストランに駆け込みます。車を運転しない旅行であれば、移動中からビールを開けます。

食事を済ませたら、15〜16時ごろにチェックイン。まずは荷物を置いて、客室でビールやら日本酒やらを開けてだらだらします。

いますぐ温泉に浸かりたいけれど、いまはチェックインしたてのお客さんで混んでいるだろうと思い、ワンテンポ置きます。

夕食時が近づいてきたころに浴衣に着替え、いよいよ温泉へ。遅めに設定してもらった夕食時間のギリギリまで体を湯に沈めます。極楽。

食事を済ませたら、15〜16時ごろにチェックイン。まずは荷物を置いて、客室でビールやら日本酒やらを開けてだらだらします(写真提供:Photo AC)

そうして夕食をいただき、また客室でだらだら(ドラマを見たりゲームをしたり)して、消灯するころに二度目の温泉へ。静かになった温泉にひたひた浸かり、サイコーの気持ちに。そうして24時ごろに寝ます。

温泉旅行だと早寝早起きになりがちですが、私は日頃のペースをなるべく崩さないようにしています。

自分に気を遣う必要はない

朝食タイムまでにはがんばって目を覚まし、もう一度温泉に浸かり、10時ごろにチェックアウト。温泉地を散策したり、周辺を観光したり、日帰り入浴したりするならこのタイミングで。昼過ぎには帰り支度を始めます。

帰宅は16〜17時を目標に動きます。日が暮れる前に帰れると、日曜日の夜をゆっくり過ごせるので、月曜日がだいぶ楽です。

文字通り「旅館行って温泉浸かってきただけ」ですが、一泊二日のひとり温泉旅行であれば、そのぐらいの予定量で十分だと思います。

こんな気の抜けた一泊二日の温泉旅行をする際は、宿泊代にお金をかけることをおすすめします。ひとりでの宿泊は、基本的にはあまり歓迎されるものではありません。特に土日であれば、お断りしている旅館も多いでしょう。

そんな中でのひとり宿泊、一般的なサービス単価より高くついている可能性があります。

なんとなくの肌感ですが、友達や家族と泊まるより、20〜30%ほど料金差が出るものと考えています(例えば、ひとり宿泊が一泊一万二千〜三千円だった場合、サービス内容は一万円程度のもの)。

だから、観光にかけるお金を宿泊にまわすことで、満足度・納得度はようやく釣り合ってくるのです。

もちろん、行きたい観光スポットがあればぜひ行きましょう。肝心なのは、「一泊二日のひとり温泉旅行、気づいたら疲れただけ」にならないようにすること。

大人の休日は何よりも尊いものです。「せっかくだから」なんて、自分に気を遣う必要はないのです。

※本稿は、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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