「100円老眼鏡」を長時間使っていると老眼が進行する!?眼科専門医「老眼鏡は必ずメガネ屋さんで。ただしその前にまずは眼科へ」
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【書影】人気の眼科専門医が教える、目についての最新知識!平松類『名医が教える 新しい目のトリセツ』
100円メガネはサンダル
老眼で近くが見づらくなってくると、100円ショップの100円(税抜き)老眼鏡ですまそうとする人がいます。
100円老眼鏡でも、ごく短時間使うなら問題ありません。短時間というのはサンダルを履いてゴミ出しに行くくらいの時間です。
まだ裸眼でもだいたい見える人が、大事な書類にサインをするときだけ老眼鏡をかけるというのなら、100円老眼鏡でもいいかもしれません。
でもサンダル履きでマラソンするとしたら、うまく走れませんし、足が豆だらけになってしまうでしょう。ランニングシューズでないとマラソンはできません。
メガネ屋さんで視力をきちんと測定してつくった老眼鏡と、100円老眼鏡ではそのくらいの違いがあると思ってください。
100円老眼鏡のように、度が正確に合っていないメガネをしょっちゅうしていると、そのたびに目に負担がかかり、目の老化が進んで、老眼もより進行させることになってしまいます。
度数調整ができる老眼鏡
度数調整ができる老眼鏡というのもあります。テレビCMなどで宣伝していますが、あのような商品はどうなのでしょうか。
これはメガネと目の距離を調整できるダイヤルがついていて、それを回すことで度数が変えられるというもの。確かに度数は変えられるのですが、そもそも度数というのは頻繁に変える必要はありません。
それよりは、メガネ屋さんで、自分にピッタリの度数の老眼鏡をつくったほうがよいと思います。
もう1つ、このタイプの老眼鏡も、100円老眼鏡も、乱視を補整することはできません。きちんとつくれば、乱視の補正もしっかりと行ってくれます。
ルーペは脳が疲れる
テレビCMといえば、ルーペ(拡大鏡)の宣伝もよく目にしますね。有名な俳優が出ていたりして、すごくよく見えそうな宣伝です。
その影響なのか、患者さんから「老眼鏡とルーペのどっちがいいんですか?」と聞かれることがあります。
そもそも老眼鏡とルーペでは使用目的がまったく違います。ルーペの機能は拡大することだけです。
例えば少しぼやけて判別しにくい小さな文字があったとします。これをルーペで拡大して見ると、文字が大きく見えるので、小さいときより判別しやすくなります。
このぼやけた文字を判別する作業は脳で行われます。つまり脳に負担がかかるということです。
トレーニングとしてぼやけたものを短時間見るのはよいのですが、長時間ぼやけたものを見ていると、ぼやけた画像を脳が処理し続けないといけないので、眼精疲労の原因にもなってしまいます。
メガネ屋の前に眼科に行こう
このような理由があるので、老眼が気になって老眼鏡をつくろうと思ったら、メガネ屋さんでつくったほうがよいのです。
ただしいきなりメガネ屋さんに行くのはすすめられません。メガネ屋さんの前に眼科に行ってほしいのです。
老眼鏡が必要になる年齢になると、目の病気が進行している可能性があります。とくに何年も眼科に行っていない人は要注意です。
よくあるのは、老眼だと思って眼科を受診したら、実は片目が緑内障で失明寸前だったというケース。実はこのようなケースは珍しくありません。
メガネ屋さんでは目の病気はわかりません。眼科にはメガネの処方せんを書いてもらうために行くのではなく、目に怖い病気が潜んでいないのかを調べてもらうことが目的です。眼科の医者から問題ないといわれてからメガネ屋さんに行くようにしましょう。
※本稿は、『名医が教える 新しい目のトリセツ』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
03/22 06:30
婦人公論.jp