3月20日から昼と夜の長さがほぼ等しくなる『春分』。「陰」から「陽」へ転ずるこの時期に起こりやすいトラブルとは?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>
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春分(しゅんぶん) 3/20~4/3頃
春分は、太陽が真東から昇り、真西に沈む、昼と夜の長さがほぼ等しくなる、陰陽調和の日。春の彼岸(春分とその前後3日間、計7日間)の中日にあたります。
南から北へと桜前線が進み、お花見シーズン真っただ中。
春分以降、昼がどんどん長くなるため、中医学的には、この日を「陰」から「陽」へと転ずる日と考えます。
よって、養生では、この「陰」と「陽」をバランス良く補うことが大切になります。
中医学的 春分の暮らしかた
・心と身体の状態
昼と夜の長さがほぼ同じとなる春分――。
この頃から夏至(6月21日頃)まで、昼がどんどん長くなっていきます。
中医学では、春分を「陰陽」が転化する時期とし、活動と睡眠などの“陰と陽のバランスをととのえること”を、もっとも大切な養生と考えます。
寒暖差や気圧の変化のみならず、新生活に向けて環境も変化する時期なので、自律神経が乱れやすく、体調不良が出やすいときです。
変化に適応しようと頑張りすぎず、こころと身体をうまくクールダウンしながら、揺らぎの時期を乗り切っていきましょう。
・起こりやすい不調
春分の時期は、寒暖差、気圧、環境の変化……。
いろいろな変化によって自律神経系のトラブルが出やすい春分の時期は、とくに動悸・発汗・睡眠トラブル・血圧不安定などに見舞われる人が多いでしょう。
とにかく心身が、大きな季節の変わり目のさまざまな“変化”に適応しようとするため、交感神経が優位になりがち。
身体を守るためにエネルギーを消耗しやすくなるので、“夏バテ”ならぬ“春バテ”に陥ることも少なくありません。
立春以降、引き続きですが、メンタルも不安定になりがちです。
養生
秋から冬にかけての養生は、陰陽の「陰」を補い、夏の養生は「陽」を補うことを意識するものが多いのですが、暑さや寒さ、昼と夜もちょうど良いこのときは、「陰」も「陽」も適度に補う、バランスを意識した養生がポイントとなります。
「春眠暁(しゅんみんあかつき)を覚えず」とは言いますが、睡眠トラブルでお悩みの方は、朝日をしっかり浴びて陽気の補充から1日を始めましょう。
そして、昼は活動的に過ごすことが大切です。
そうすることで、夜にきちんと眠気が来るようになります。夜になったら煌々(こうこう)と電気を灯さず、日没をすぎたら照明を少し落としたり、間接照明をうまく取り入れると良いでしょう。
メンタル面では、怒りやイライラや動悸が出やすいので、まずは穏やかに、ゆるやかに深呼吸を。
しっかり息を吐いて力を逃しましょう。春の五臓(注)の「肝」は涙によって緊張を解くことができるので、感動できる映画を観たり小説を読んでの「涙活」も効果的です。
(注)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。
中医学的 春分の旬のもの
・旬の食材1 三つ葉
3〜4月が旬の三つ葉は、気を補って元気にしてくれる「補気(ほき)作用」があります。独特の香りには食欲増進作用もあるので、疲れ気味のときや食欲がないときに、ぜひ取り入れてみてください。
また、三つ葉の辛味は血流改善に良く、炎症を落ち着ける力もあるので、花粉症による目のかゆみにも効果があります。
定番はお吸い物や味噌汁ですが、「三つ葉のなめろう」もおすすめ。三つ葉を細かく刻んで、納豆と納豆のタレ、ネギトロ用のマグロを加えたら、お好みで味噌、砂糖、ごま油を混ぜて出来上がりです!
・旬の食材2 クレソン
栄養素たっぷりのクレソンの旬は、3〜5月。春にいたわりたい肝の血流をスムーズにして、潤いを補給しながら余分なものを排出する力に優れており、まさに春のデトックスにピッタリの食材です。
クレソンは、アメリカ疾病予防管理センターでも栄養素スコア100点満点を叩き出したという、西洋医学でも“最強の野菜”と呼ばれるほど栄養価の高い野菜!
洋の東西を問わず、評価の高い食材というわけですね。
・旬の食材3 アスパラガス
4月頃から出回り始めるアスパラガスは、疲労を回復する力が強く、非常に優秀な“栄養補給剤”となります。
春の食卓には、ぜひとも並べてほしい食材のひとつです。疲労回復のほかにも、胃腸をととのえる・身体の余分な熱を冷ます・潤いを補給する・美肌などの効能があります。
※本稿は、『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
03/20 06:30
婦人公論.jp