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【私の家族】俳優・川上麻衣子 愛猫たちから学んだ55歳の死生観 年間300匹の猫と里親を結び付ける保護猫活動も

川上麻衣子さんと愛猫ココロちゃん【写真:山口比佐夫】

川上麻衣子さんと愛猫ココロちゃん【写真:山口比佐夫】

 ドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)や映画『でべそ』、バラエティ番組「志村X」(フジテレビ系)のコントなど、女優としてさまざまな顔を見せてきた川上麻衣子さん。猫エッセイ「彼の彼女と私の538日 猫からはじまる幸せのカタチ」(竹書房刊)を上梓するなど愛猫家としても知られる。そんな川上さんは、3年前に「一般社団法人ねこと今日」を設立。代表理事として猫に関する情報発信などをはじめ、ますます“猫活動”に拍車がかかっているようだ。川上さんを動かしているものは何なのか。詳しい話を聞いた。

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withコロナ時代における猫との暮らし方…猫に関する知識をオンライン授業で発信

「一般社団法人ねこと今日」の活動は、人と猫との心地よい暮らしの提案を目的とした、猫に関する情報発信や商品開発です。具体的には、ボランティア団体「しあわせにゃんこ」が行っている保護猫譲渡会のお手伝いや飼い主のためのアカデミー、イベントなどを企画・実施しています。

 譲渡会は私が東京都台東区谷中に借りているイベントスペースを提供し、2020年1月に月2回ペースでスタートしました。開始早々、新型コロナウイルス感染症の拡大という事態に直面し、中止を余儀なくされた時も。それでも、昨年1年間で約300匹の猫と里親を結び付けたんですよ。

 アカデミーは獣医さんたち6人を講師に招き、オンラインで行っています。200ページ超の教科書を作成して、猫の生態や体調の把握方法、withコロナ時代における猫との暮らし方など専門的な内容を学んでいただいています。

 コロナは猫たちにも影響を与えています。子猫が増えていますね。理由は、昨年の緊急事態宣言時に消毒液が不足し、猫の避妊や去勢手術用に回らなくなったため繁殖が増えたから、とも聞きます。

 また、家にいる時間が長くなり、犬や猫と暮らし始める人が増えています。最近は猫にも高齢化での介護や看病の必要性が生じてきていますが、「思っていたのと違う」などと安易に捨てることなく、最期の看取りまできちんと一緒に過ごす覚悟をしてほしいですね。コロナ禍がきっかけでも、動物とご縁ができるのは良いこと。猫は一緒にいると魅力に引き込まれると思います。

2匹目のローサちゃんのがんがきっかけで病気について学ぶように【写真:山口比佐夫】

2匹目のローサちゃんのがんがきっかけで病気について学ぶように【写真:山口比佐夫】

愛猫の看取りを5度経験 2匹目の病気が猫との向き合い方の転機に

 一般社団法人を設立する2年前に、「にゃなか」という猫好きの人の交流サイトを立ち上げイベントをして楽しんでいました。ですが、企業とコラボする機会もあったので、信用を得る必要があると考えて一般社団法人にしたんです。こんな風に活動するようになるなんて、猫と暮らし始めた当初はまったく思っていませんでした(笑)。

 元々生き物は好きで、犬猫禁止の物件だった実家ではハムスターやセキセイインコを飼っていました。18歳で一人暮らしを始めてから、ヒマラヤンの男の子「ミリオン」を迎えました。出逢いは伊勢丹新宿店の屋上にあるペットショップ。そこで生後2か月半だったミリオンと目が合って(笑)。それでも、猫を飼うのは初めてだったのですごく悩み、一緒に暮らし始めてからも最初はお互いドキドキして、一定の距離感を持って生活していました。

 意思の疎通ができるようになったのは2、3年目から。溺愛していたので、老猫になった7歳を超えてからは先立たれる“いつか”を思いつらさもありました。

 ミリオンは16歳で亡くなりました。てんかんの発作を起こして急に目が見えなくなったため、獣医師さんに「脳腫瘍かも」と言われたのですが、年齢的に手術は厳しくて……。最期の3日間を泣き続けて疲れ果てた私の腕の中で、スッと息を引き取りました。まるで私の心の準備ができるのを待っていてくれたみたいに。

 息を引き取る直前には、ちゃんと目を見て「ありがとう」と伝えてくれました。その“逝き方”が立派で。子猫の頃から育って、老いて、亡くなるまで一緒に過ごして一生を見せてくれて、私も「ありがとう」という感謝の気持ちになりました。その感謝の思いが今の活動につながっています。

 これまで7匹の猫と暮らし、5匹を看取ってきました。それぞれ性格も好きな食べ物もまったく違い、逝き方も違っていました。2匹目のヒマラヤンで女の子の「ローサ」は、舌の奥に進行性の扁平上皮がんができて、最期は食べたいのに食べられなくなりました。私も不安だし、猫は話せないから痛いのかしんどいのか分からないしで、お互いに大変でした。その経験から、猫の身体や病気について学ぶようになりました。

 保護猫に関心をもつきっかけは、3匹目で男の子の「リッカ」。実は、2匹目のローサは生前、お見合いして妊娠したのですが、出産直前に死産という悲しい結果に終わったことがありました。その時、「子猫を迎えるつもりだったなら、里親を探している子猫がいるがどうか」とリッカを紹介され、迎えたんです。リッカは19歳まで生きて、最期は食べられず痩せ細って亡くなったんですけど、延命治療や看取りについて考えるようになりました。

預かり猫のお世話もお手のもの。頼れる“イクメン”のタックくん【写真:山口比佐夫】

預かり猫のお世話もお手のもの。頼れる“イクメン”のタックくん【写真:山口比佐夫】

猫たちに感謝 「死生観、人生観も形作られた」

 今、一緒に暮らしているのは2匹。女の子の「ココロ」(6歳)と男の子の「タック」(4歳)で、どちらも元は保護猫です。他に、昨年春の緊急事態宣言時は、保護猫の3きょうだいを1か月余り預かっていました。どうせずっと家にいるのでね。

 おかげでにぎやかで、やることもあって良かったです。ココロは子猫に嫉妬していましたが、タックは毛づくろいしてあげたり怪我をしないように見守ったり、よく面倒を見てくれました。“イクメン”ですね(笑)。その優しい姿を見ているだけで癒やされました。

 昨年11月、私は出張先の大阪で新型コロナに罹患し、予定より長い10日間、現地で隔離生活を送りました。自分の体や感染させてしまったかもしれない人たちのことが心配でしたが、コロナ対策をしながらココロとタックの面倒を見てくれる人も、急いで探さなければなりませんでした。

 窮地を救ってくれたのが「しあわせにゃんこ」の方。普段から猫のウイルス対策をしていて、除菌の知識や防護服をお持ちだったので、コロナ対応も可能だったのです。こんな風に助けていただくことになるなんて思ってもいませんでしたが、「助け合える仲間がいることはとても大事だな」と改めて思いました。

 振り返ると、猫たちとの出逢いから猫好きの人たちとつながって、それが広がり今の私があるんですね。猫たちのおかげで、死生観や人生観も形作られました。私も50代半ばとなり、私自身や両親の命、老い方、逝き方を考えるようにも。考えるきっかけをくれた猫たちに、また感謝です。


◇川上麻衣子(かわかみ・まいこ)
1966年2月5日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。1歳で帰国後、9歳から再びスウェーデンで約1年間暮らす。80年に「ドラマ人間模様 絆」(NHK)でデビュー。また「3年B組金八先生」第2シリーズ(TBS系)で優等生役を好演し人気を集めた。96年に映画『でべそ』で第6回日本映画プロフェッショナル大賞の主演女優賞を受賞した一方、バラエティ番組「志村X」「変なおじさんTV」(フジテレビ系)ではコントを演じて好評を得た。2018年に「一般社団法人ねこと今日」設立。2021年6月5日と6日には、獣医師や動物行動学のライターを講師に迎えて「第2回川上麻衣子キャットアカデミー」をオンラインで開催する。

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