季節の変わり目に急増「歯周病」は心筋梗塞や脳梗塞を招く侮れない病だ!
いまや30歳以上の約8割が罹患していると言われる病気「歯周病」。歯周病になると歯ぐきが腫れて出血し、悪化すると歯を支える骨が溶け歯がポロッと抜けてしまうこともある。
この歯周病の原因とされるのが、口の中にいる「歯周病菌」という常在菌だが、実は夏の暑さが収まり気温や気圧が低下する季節の今が、免疫力低下によりリスクが高まるのだ。というのも、気温や気圧の低下はストレスホルモンの分泌を促しやすく、その影響で交感神経のバランスが崩れ、血液の循環や免疫システムに異常が起こる場合が少なくない。口の中は通常、唾液がむし歯菌や歯周病菌などと闘ってくれているが、免疫システムに異常が起こると唾液の働きが悪くなる。すると、いままで唾液の抗菌作用により抑えられていた歯周病菌などが活発に活動し始めてしまうというわけだ。
現在、日本人が歯を失う原因の第1位で「歯が抜ける人のおよそ4割」は歯周病とされるが、実はこの病気の恐ろしさはそれだけにとどまらない。なぜなら歯ぐきやあごの骨の血管から血液に侵入した歯周病菌は、やがて心臓の血管に到達。すると血管の内壁部分に脂肪のかたまり(プラーク)を作ってしまう。プラークができれば必然的に血液の通り道が細くなり、結果、血管内を通る血液の流れが速くなって狭心症の原因になるほか、血管内壁に傷がつき管を詰まらせ、血栓が出来ることで心筋梗塞や脳梗塞をひきおこすリスクが格段に増えることになる。
ある研究データによれば、「歯周病にかかっている人は、そうでない人よりも2.8倍、脳梗塞になりやすい」との報告もあり、加えて近年では、歯周病が原因で糖尿病を発症しやすくなることも明らかになってきている。そんなことから、口腔医療の世界では、歯周病を単に口内の病気としてではなく、生命をも脅かす重大な病気として捉えている医師も少なくない。
では、そんな恐ろしい歯周病から身を守るためには、どうすればいいのか。それが日頃からの「歯間清掃」と、歯科医での定期的な歯垢除去だ。歯周病には痛みなどの症状がないことが多いため、歯科医院に来院した時点でかなり病気が進行していたり、手遅れになっていたりする場合が少なくない。歯垢(プラーク)1mgに含まれる細菌の数は1億個以上。当然、放置していると歯周病になるリスクは高まる。そのため、食後には必ず歯間ブラシなどを使い、口内を清潔に保ち、定期的に歯科医で歯垢を除去してもらう。口腔環境を整え、症状が悪化しないうちの早期治療を心がけることが、歯周病に対する唯一の防御法といえるのかもしれない。
(健康ライター・浅野祐一)
10/02 10:00
アサ芸Biz