三ツ星ファーム、スタートから2年半で1,000万食を達成 「高付加価値の日常食」として提案【冷凍宅配弁当の最前線】

2021年6月にサービスを開始した「三ツ星ファーム」。EC関連のコンサルティングを行っているイングリウッド(東京都渋谷区)が手掛けている。これまでに1,000万食を売り上げた。4月からは新たに、ごはんに合うおかずや、丼ぶりのもととして活用できる商品を投入している。

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「三ツ星ファーム」は、冷凍弁当を中心に、こだわりのある日常食を展開するブランドだ。約80種類のメニューを展開し、管理栄養士が監修したメニューを提供している。商品は、たんぱく質15g以上、糖質25g以下、350キロカロリー以下という「三ツ星基準」を設け、バランスのとれた低糖質なメニューとしても支持されている。注文も、自分のライフスタイルや好みに合わせて、7・14・21食の中から選べる。配送頻度もそれぞれの生活に応じて週ごと、月ごとなどに変更できる。2024年2月にはモバイルアプリをリリースし、より使い勝手を追求している。

ユーザー属性は、女性が約6割、男性は約4割。20~60代の利用が目立つなど、幅広く活用されていることが特長の一つだ。ブランドマネージャーの本間悠也氏は「商品的には幅広い方から受け入れられるラインナップにしていて、あまりターゲットを絞りすぎないことで支持していただけたのでは」と話す。

本間悠也氏

本間悠也氏

販売のメインは自社のECサイト。一部のスーパーでも取り扱いが始まっているほか、オフィス向けのサービスもスタートしている。

23年6月に500万食の達成を発表し、そこから8カ月後の2024年2月には1,000万食に達している。急伸した理由について、本間氏は「新規のお客様を獲得するペースがかなり順調にきているほか、リピート率も一定の水準を保っており出荷数は増えている。このビジネスは継続的に収益を得られるストック型のビジネスモデルなので、お客様が増えるほど商品の出荷数も上昇するため、新規の方が増えたことが大きかった」と振り返る。

また、「三ツ星ファーム」の提供価値として、ユーザーから聞き取りを行ったところ、「日常食」「高付加価値」「食事の楽しさ・幸せ」というキーワードが明らかになったという。そこで2024年3月から、「冷凍弁当」を売るブランドから「高付加価値の日常食」を売るブランドとして、リブランディングを進めている。

重視している取り組みについて、本間氏は「一番は満足度を高めること」と語る。「サブスクリプションという事業モデルなので、すぐに止められてしまうとあまり利益が出ないので、本質的に満足いただけるサービスとして展開すべく、味はもちろん、使い勝手の良さなどに力を注いでいる」という。

2024年2月には「三ツ星をもっとおいしくPROJECT」をスタートした。実際のユーザーを招いて試食会を行い新たなメニュー作りを行う施策で、ニーズの高かったものをメニュー化している。これまでに、たんぱく質を豊富に含んだ3つのメニューや、子供向けのプレート商品3種を投入した。4月には食べ応えのある2種類のプレート商品の投入を予定している。

さらに、自炊のストレスを軽減できる新シリーズとして「救世主ごはん」8品を4月から提案する。温めるだけでメインになるおかずとして、「やわらかジューシー ミニハンバーグ(チーズイン)」や「香味ダレが食欲そそる 油淋鶏」などを発売した。丼ぶりメニューが作れるメニューは「とろ~りたまごのふわとろ親子煮」や「ピリ辛やみつき 和風ヤンニョムチキン丼の具」などをそろえている。

〈求められているものを提供して支持拡大へ 食事の時間をポジティブに〉

今後の市場の見通しについて、本間氏は「こういったカテゴリーが珍しくなくなってきたので、本当に価値が高いレベルで提供している商品じゃないと生き残れないと思う。新しいだけではもう生き残れないので、お客様が今求めているものを理解して、それを形にしていかなければならないと考えている」と語る。

このブランドの魅力について、本間氏は、「美味しいとか健康に良いとか、その辺は当たり前として、食事の時間そのものを楽しく感じていただける、ワクワクしていただけるような要素を大事にしている。ただ商品を使うだけじゃない、満足してもらえるようなところは大事にしている」と話す。

また、ブランドとして力を注いでいくことについて「食事って結構ポジティブな時間だと思うんですけど、ポジティブな時間を味わっていただけるように、面倒なこと、大変なことを極力取り去るお手伝いをこのブランドでしていきたい。この価値に対して共感いただけている方は結構多いと思うので、今までやってきたことを変わらずやっていくということは意識して進めていく」と語った。

〈冷食日報2024年4月9日付〉

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