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爪切男×川村エミコ“同級生対談”。「もしも二人がクラスメイトだったら?」

爪切男×川村エミコ“同級生対談”。「もしも二人がクラスメイトだったら?」

爪切男さんの3か月連続刊行のラストを飾る新刊『クラスメイトの女子、全員好きでした』が発売を記念した、川村エミコさんの“同級生対談”。

前編では、自身の過去を書くときの作家としての向き合い方や、学生時代の思い出トークで盛り上がった二人。

今回の後編では、さらに赤裸々な同級生トークに花が咲き、作品のみならず、お互いの魅力についても話題が広がっていきました。

※本対談は4月中旬に、感染対策に配慮しながら取材と撮影を行いました。

(撮影/齊藤晴香、聞き手・構成/よみタイ編集部)

全国の小学校の図書館においてほしい!

(前編から続く)

川村 爪さんの今回の本ですごく素敵だなと思ったのは、全エピソードの最後に女子へのお手紙があるところ。時を超えたお手紙っていいなと思いました。

 今だったら自信を持って「あなたは可愛かった」と言えるので。子どものころは絶対に言えなかったですからね。女の子と変に仲良くし過ぎたらクラスのガキ大将にいじめられる可能性もありますし。

川村 でも実際には意外と爪さんが女の子を泣かしているんですよね(笑)。いじめないようにいじめないようにしてるんだけど、結局泣かしている。フランスからの転校生のパトリシアとか。

 なんか地雷を踏んじゃうんですよね。本当にガキだったし。パトリシアの場合は、彼女を助けるナイトになろうと必死で頑張ったのに、うまくいかないことでイライラが爆発してますね。

川村 なるほど。そういう思いもあったんですね。
パトリシアのエピソードに出てきたお菓子、「ねるねるねるね」も懐かしかったです。シルバニアファミリーも出ていますが、私も好きで集めていましたし。同世代なのでめっちゃ懐かくて「わー!」ってなるものが本の中にもいろいろと登場してました。

 男子だとビックリマンシールも流行ってましたね。キラカードが出ても、みんなにバレないように一人でこっそり喜ばないといけなかったんですよ。いじめっ子に「この悪魔シールと交換しろよ」って取られるから(笑)。

川村 女子はシール交換が流行ってました。私は年上のいとこがいて、けっこういいシールをたくさん持っていたので、普段、仲良くない女子にシール交換の時だけ話しかけられて、全部持っていかれそうになったりしていました。ヤミ市みたいな感じで。

後半に入り、同級生トークがますます盛り上がる川村エミコさん(左)と爪切男さん。

後半に入り、同級生トークがますます盛り上がる川村エミコさん(左)と爪切男さん。

 そういえば前回の対談イベントの時に、女子同士は、僕たち男子が思っている以上に殺伐としているという話を聞いて意外でした。

川村 めっちゃ殺伐としてますよ。女子は残酷です。だから、学生時代の時にモテて、ハタチくらいからモテなくなったという女子の話を聞くと、すんごいニヤニヤしちゃいます。「ほらね〜、顔がいいとか、足が早いとかでモテるのは10代のときだけだよ〜」って。絶対“中身の時代”がやってくるじゃないですか。だから学生時代だけモテてた人ってめっちゃダサいと思ってます!

 僕も同じです。実際、小中高って彼女いなかったんで。

川村 でも、本の中では小2で初めて手を繋いでるじゃないですか。私、それがうらやましくて! 私が初めて男子と手を繋いだのは、高2の時の体育祭のパン食い競争で仕方なくだったので。

 競技上の手繋ぎをカウントに入れるんですね(笑)。

川村 それを入れちゃダメなら、私、23歳までないですよ!

 保健委員だったので、女子を保健室に連れて行く時に手を握ったりもしていましたけど、僕はそれはノーカウントにしています。保健委員の仕事だったから握らせてくれたと思っているんで。

川村 でもそれで嫌がらずに握らせてくれるのは好かれている証拠だと思いますよ。爪さんが保健室に連れて行っていた、よく嘔吐をしてしまう女の子とのエピソードでも「月の上を歩いた宇宙飛行士の一歩よりも、彼女が私のために歩いてくれた一歩のほうが、どんなに価値があるだろう」って書かれているじゃないですか。
大人になるとこうやって人ときちんと話したり深く関わったりすることが減るので、本当に素敵だなと思いました。またいまを生きたくなる、誰かとちゃんと関わりたくなる本だと思います。
小学生にだって読んで欲しいです。小学生の時にイケてなくても大丈夫だよって伝えたい。私もイケてなかったし。でも、爪さんみたいに角度が違ういいところや魅力に気づいてくれる人はいることを知るだけでも救われる人は多いと思います。
全部ふりがなふって、全国の小学校の図書館において欲しい!

雑誌の怪しい広告に食いついていた中学時代

──同級生のお二人ですが、もしクラスメイトだったらどんな関係性だったと思いますか? 好きになっていましたか?(笑)

川村 私は、男子とは話しかけられなきゃ話さなかったから、どうだろう……。

 僕は、適度な距離感を保ちつつ、しっかり川村さんのことも観察していたとは思います。

川村 でも爪さんて、何度も学級委員長になったりしているんですよね。
私は本当に存在感を消しているタイプだったので、爪さんとは話せてなかったんじゃないかな。
私もクラスメイトのことは観察していましたけど、「あの子の先祖はカマキリだな、ミミズだな」とか、前世を当てはめたりしているだけでしたから。一人遊びは上手なんですけど、人とどうやって関わったらいいのかわからなくて悶々としていました。
爪さんは、クラスメイトにちゃんと恋もしているし、素敵じゃないですか。

 学級委員をやっていたのは女子と話す機会ができるからです。実は小学生の時には生徒会に入ってて、中学生でもよく級長をやっています。でも中学時代なんて顔がニキビだらけで肌がゴツゴツしてたから「岩委員長」って呼ばれたり。女子たちが僕のことを「ニキビさえなければねぇ……」なんて話しているのが耳に入ってきたり。
だからニキビのことはすごく気にしていて、漫画雑誌とかの後ろの方に出ている怪しい広告を見て、「クレオパトラも使っていたニキビが消えるまゆのスポンジ」とか「福建省の貴重な竹エキスが入った洗顔料」とか、貯金して買ってました。全然効かなかったけど(笑)。

川村 あー、当時は雑誌の最後とかにありましたねー、そういう広告記事! お金持ちになれるブレスレットとか。私も「幸せになれる石」を買った。
そういえば学級委員の話で思い出したんですけど、中学時代に「ジャージからわき毛が見えてる」ってある男子に指摘されたことがあったんですね。それを学級委員の女子が「川村さんのわき毛が見えていることは言わない方がいいと思います!」って学級会で言い出して。正義感からなんでしょうけど、「そっちの方がみんなに広まるだろう! やめてくれ!」って思ってました。
その時はあまりに恥ずかしくて、「私、タモリさんみたいに毛が薄くて、わ、わき毛も2本くらいしか生えないから」って、自分で自分に対してよくわからないフォローをしましたけど……。

 よかれと思って余計なことを言ったりやったりしてしまうことがあるんですよね。
今回の本の中で、僕が女の子に一番ひどいことをしたと思っているのは、中学生のとき、場面緘黙かんもく症の女子にバク転を見てもらっていたことですね。「クラスメイトには知られたくないけど、やっぱり誰かに自分のバク転を見てもらいたい」と思って、人前でうまく喋られない彼女ならクラスのみんなに絶対に言わないだろうといういやらしい計算のもとに、好きでもない男のバク転を見せ続けていたわけですから。それも青春の1ページだとは片づけられないですよね。彼女の症状を利用したとも言えるわけで、ひどいことをしたなと思ってます。

「爪さんはみんなのいいところをキャッチできる人」

川村 さっきも言いましたが、爪さんはいろんな角度からみんなのいいところをキャッチできる人。だから、登場する女子のいいところをたくさん見つけて言ってくれるような、そういう生配信とかやって欲しいなとか思いました(笑)。

──では、爪さんから見た川村さんの良いところをお願いします!

 川村さんは可愛らしい。そこにプラス、生命力があるんですよ。この年齢になったからじゃないけど、やっぱり生命力のある人には惹かれますよ。自分がどんなに弱っていても、生命力がある人がそばにいると救われる。そばにいてくれたら自動的にドラクエとかロールプレイングゲームの「ヒットポイント」が回復するような。子どもの時は自分が元気だからあまりわからないんですよね。でも大人になっていろんなことに疲れてくると、川村さんのように生命力のある人に惹かれる。

川村 うれしい! でも悪く言うと強欲ババアで。「あれがしたい、これもしたい」って。それが生命力でもあるんですけど、自分の強欲さに落ち込むこともあるんです。

 川村さんは太陽と月の両面を持っている人。太陽の明るさだけじゃなくて、月の暗さやあやしさも持っている。生命力がある人っていうと、太陽の面だけって取りちがえる人がいるんだけど、ただ明るい人だと、海外留学帰りの陽気なウザいヤツと同じで。
川村さんのような方が本当の生命力のある人だと思います。明暗、全部わかっているから、気持ちが届くというような。

川村 いやぁ、うれしい……。 私、強い部分もあるけど、弱い部分もあるんですよ。だから、強いけど弱い、弱いけど強い部分をわかってくれる男性を探しています。「明日どこに行きたい?」と聞かれたら「嫁に行きたい」という私を、読者のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします!

「よみタイ」発の両エッセイ集を持って。両作品を一緒に読むのもオススメです! 

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爪さんと川村さんのエッセイ集、それぞれ好評発売中!

爪切男さんが少年時代のエピソードを綴る全20篇のエッセイ集。ドラマ化もされたデビュー作『死にたい夜にかぎって』の前日譚ともいえる作品です。
せつなくておもしろくてやさしくて泣けるセンチメンタル・スクールエッセイ『クラスメイトの女子、全員好きでした』の詳細はこちらから。

川村エミコさんによる「よみタイ」の人気連載が、一冊のエッセイ集に。単行本では、エッセイの他に、川村さん秘蔵のこけし写真や描きおろしイラスト、幼少期からのアルバムページなども収録しています。
書籍『わたしもかわいく生まれたかったな』の詳細は、こちらから。

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