2015年オープン「渋谷モディ」2階が空き店舗だらけに いったいなぜ?

2015年にオープンした丸井系のショッピングビル「渋谷モディ」でテナントの撤退が相次いでいます。背景にはいったいどのような事情があるのでしょうか。都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

「モディ」とは一体どういう店なのか

 丸井系のショッピングビル「渋谷モディ」(渋谷区神南)でテナントの撤退が相次いでいます。

 特に下層階ではその傾向が顕著で、2階はほとんどが空き床に。テナント数も2015年の開業当初の約60店から約30店へと半減しており、ネットでは同店の先行きを不安視する声が多く聞かれています。

渋谷マルイから撮影した、「青の洞窟」のイルミネーションで彩られた公園通りと「渋谷モディ」。一見華やかだが、館内は空き店舗だらけに……(画像:都市商業研究所)

 モディは丸井グループの「新業態」という位置づけですが、渋谷にできるまで「モディ」を知らなかった人も多いと思います。果たして、「モディ」とは一体どういう店なのでしょうか。

丸井の不振店から生まれた専門店ビルだった

 もともと「モディ」は「丸井」の不振店舗や別館を業態転換するかたちで2006(平成18)年に生まれました。

 当初は丸井の子会社「エイムクリエイツ」(中野区中野)が運営しており、1号店の「町田モディ」(町田市原町田)を皮切りに、2007年までの1年間に戸塚(横浜市)、川越(埼玉県川越市。2020年1月閉館)、立川(立川市曙町、2012年5月閉館)が相次いで転換されました。

1号店となった町田モディ(左)。町田マルイ(右)の別館を改装して誕生した(画像:都市商業研究所)

 モディが誕生した2006年当時の丸井各店は現在よりも「百貨店 + ファッションビル」という要素が強く、「大手百貨店でよく見られるブランド」や「丸井の直営売り場」「丸井の自主編集売り場(セレクトショップ)」の割合が多くなっていました。

 その一方、丸井よりも「専門店街」的な要素が強く、「ファッションセンターしまむら」や「ダイソー」、そして「アニメイト」など、丸井と比較すると、よりカジュアルなテナントや雑貨店、100円ショップ、書店・CD店、サブカル・アニメ関連ショップなどの大型専門店で構成・集客する形式を採っており、当時の両者は「異なった業態」でした。

定まっていなかった独自の方向性

定まっていなかった独自の方向性

 不振店の転換ゆえに長らく「都心外」の立地ばかりのモディでしたが、2015年11月に「マルイシティ渋谷」を改装するかたちで都心初となる「渋谷モディ」が誕生します。

 渋谷モディのコンセプトは「知的商業空間」で、5階から7階にCD・書籍を販売するHMVの旗艦店「HMV&BOOKS TOKYO」が出店したほか、他のモディと同様にファッションに加えて雑貨店、飲食店などのテナントで集客する形式となりました。

開業当初の渋谷モディ。多くの客でにぎわいを見せていたが……(画像:都市商業研究所)

 一方、モディはこれまで郊外都市しかなかったためブランドイメージが定着しておらず、当初から明確な「モディとしての方向性」が定まっていないという印象もありました。

 その後、丸井が2館体制だった柏、静岡でも2館のうち1館がモディに転換し、モディは7店舗体制となります。

「差別化」に苦しむ「モディ」と「マルイ」

 しかし、それ以上に大きな変化を遂げていたのはモディの親会社である「丸井自身」でした。

 アパレル不況のなか、丸井は「マルイ(丸井)」屋号の店舗でも百貨店らしいショップや丸井の直営売り場を減らし、雑貨やサブカル関連の専門店の導入を進めるようになっていました。

 渋谷モディが開業する頃には「丸井とモディの差別化」は難しい状態に。特に渋谷の丸井については「サブカル」化が顕著で、丸井の直営売り場のみならずファッション関連の売り場が以前よりも大きく減少。館内ではアイドルやアニメなどといったサブカル系ショップや、それに関連したイベントが頻繁におこなわれるようになっています。

渋谷マルイでは「サブカル」を集客の要とするようになった(画像:都市商業研究所)

 そうした「サブカルテナントの導入」「イベントの実施」は、以前は丸井を訪れなかった客層の獲得や、新たなエポスカード(クレジットカード)会員の獲得にも大きく貢献しました。

 しかし渋谷ではマルイ・モディのどちらとも「低~中層階にファッション専門店と飲食店、中~高層階に雑貨・カルチャー関連店」という同じような構成となってしまいました。2019年4月にはモディの運営自体が丸井本体に移管されており、今後はさらにマルイとモディの「均質化」が進む可能性もあります。

「渋谷パルコ開業」でにぎわう公園通り――モディはどうなる?

「渋谷パルコ開業」でにぎわう公園通り――モディはどうなる?

 こうしたなか、渋谷モディがある公園通りに新たな「刺客」が登場します。それは、昨年11月に建て替え・再オープンした「渋谷パルコ」です。

 渋谷公園通りは、パルコが営業再開したことで再びにぎわいを見せている一方、駅からパルコに歩いて行くとモディは向かいとなるため、パルコ側よりもモディ側のほうが人通りが少ない印象を受けます。

渋谷パルコの営業再開でにぎわいを見せる公園通り(画像:都市商業研究所)

 丸井は、今回の空き店舗の増加について「(開業から4年という)各テナントの契約満了によるもの」としています。しかし、渋谷エリアは目的以外の店も見て歩くブラブラ歩きの人が多く、低層階が空き店舗となったモディは上層階まで人が回遊しない状態となっており、今や平日昼間の館内はかなり閑散とした状態に。

 下層階のテナントの多くが撤退し、4か月ほどが経過する2月現在も多くの区画は埋まっておらず空き店舗となったまま。ネット上では「このまま閉店するのではないか」という声が上がるなど、渋谷の一等地ゆえに今後が注目される状況となっています。

 各地で再開発のつち音が鳴りやまない渋谷駅周辺。渋谷モディの建物は耐震化済みといえども1976(昭和51)年築と古く、仮にモディが撤退するようなことがあれば、建て替えも検討されることになるでしょう。

 果たして「パルコの出方」を見て新たなテナントの導入に踏み切るのか、それとも大型再開発へとかじを切るのか――今後の動きから目が離せません。

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