運転免許証の裏面にある「備考」なんのため? 住所やメモの記入は絶対NG! 勝手に“書き込み”しちゃいけないワケ

運転免許証の裏面には「備考」が設けられており、住所や氏名、免許の条件などが変更されたときに記載されることになっています。しかし、自分で記載すると罪に問われることがあるといいます。どういうことなのでしょうか。

備考へ「勝手な書き込み」は重罪だった!?

 運転免許証(以下、免許証)の表面には、氏名、生年月日、住所、顔写真といった個人を特定できる情報に加え、免許証の交付日、有効期限、免許の条件等、番号、免許の種類など、運転に関わる情報が記載されています。
 
 裏面には、備考として書き込めるスペースや、臓器提供意思表示欄も設けられています。

これが運転免許証の「裏面」です

これが運転免許証の「裏面」です

 このうち臓器提供意思表示欄は、事故や突然の病気などで万が一の事態になったときに、ドナーとして臓器を提供するか否かを示すもの。どのようにしたいかという1から3の選択肢に〇をつけておくことで、自らの意向を明示することができます。

 一方、備考はメモ欄のようにも見えますが、ここにメモや落書きなどを記入しても良いのでしょうか。

 免許証の裏面の備考には、引っ越しで住所が変更になったときや、結婚などで氏名が変わったときに新しい住所や変更後の氏名が記載されます。

 また、「眼鏡等」といった免許の条件の変更、大型自動二輪免許や普通自動二輪免許を取得した年月日などが記載されることもあります。

 免許証の内容に変更がある場合、免許センターや警察署などで届出をすると備考に変更内容が一時的に記載され、居住地を管轄する公安委員会の印鑑が押されます。

 ところが、備考に新しい住所を自身で手書きで記入している人や、メモ欄として活用している人もなかにはいるようです。

 実は、自分で新住所やメモなどを備考に書き込み、利用する行為は、「有印公文書変造罪」や「有印公文書行使罪」となる可能性があります。

 免許証は各都道府県公安委員会が発行する「公文書」であり、自分で変更を加えてはいけないのです。

 過去には、変更後の住所を自分で免許証裏面に書き込み、身分証明書として利用した人が「有印公文書変造・同行使罪」で書類送検されたことや、免許証の写真を貼り替えて生年月日を改ざんしたことが有印公文書偽造罪に当たるという判決が下されたこともあるのです。

 一般的に、免許証のような真正な文書の内容を改ざんすることを「変造」、免許証の写真を貼り替えるなど文書の本質的部分を改ざんすることを「偽造」といい、「有印公文書偽造罪・変造罪」は、1年以上10年以下の懲役が科される可能性のある重い罪となっています。

 違法となる可能性があることを知り、安易に書き込むことがないよう注意が必要です。

 では、違法となることを知らずに、備考に書き込みをしてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。

 その場合には警察署に届けて事情を説明しましょう。

 事情によって対応は異なることがあるかもしれませんが、悪用などの行為がなければ罰則を受けずに書き換えをしてもらえる可能性が高いといえますが、警察から厳重注意や事情聴取を受けることがあるかもしれません。

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 免許証は公安委員会が発行する公文書であり、備考に引っ越し後の住所やメモを書いたりすると有印公文書変造罪となることがあります。

 裏面の備考には書き込みをしてはいけないということを覚えておきましょう。

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