「ちょっと待った!」 アウター・手袋着用の運転は問題ナシ? 状況次第では違反? 実際どうなの?

寒さを防ぐためにアウターや手袋など動きにくい服装になることがほとんどの冬の運転。しかし、防寒着を身につけたまま運転すると、違反キップを切られてしまう恐れもあるかもしれません。

冬の服装での運転は何がダメ?

 冬になると、寒さを防ぐために厚着になり、日常的にアウターや手袋などの防寒着を着用します。
 
 しかし、防寒着を身につけたまま運転すると、違反キップを切られてしまう恐れもあるかもしれません。

冬の厚手のアウターを着用した状態で運転すると違反となるのでしょうか?

冬の厚手のアウターを着用した状態で運転すると違反となるのでしょうか?

 クルマ移動であったとしても、すぐに車内が暖まらないことも少なくないので、アウターを着用したまま運転をするケースも出てくることでしょう。

 また、スノーボードやスキーに行く際にスノーウェアを着用したままというのも一般的かもしれません。

 このように、冬になるとアウターを着たままクルマを運転する人も増加傾向にあります。

 しかし、ダウンコートや厚手のダッフルコートなど、冬のアウターは身動きが取りにくいということもあり、そのような状態で運転することを不安に思うドライバーもいるのではないでしょうか。

 道路交通法では服装についての規制はないことから、アウターなどを着用した状態で運転することは違反行為にはあたりません。

 その一方で、道交法とは別に、各都道府県が定める「道路交通法施行細則」は、服装について規制しているケースがあります。

 条例に違反すると取り締まりの対象になってしまう可能性もあり、どのような服装でも良いというわけではないようです。

 例えば、2018年9月に福井県内で「僧衣」を着た僧侶がクルマを運転していたところ、不適切な服装であるとして警察の取り締まりを受けたという事例が存在します。

 当時の福井県道路交通法施行細則第16条では、次のように定められています。

「下駄、スリッパ、その他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」

 このことから、僧衣は足元のペダル操作を不確実なものにする恐れがあるとみなされたようです。

 のちに、違反事実が確認できなかったとして取り締まりは取り下げられ、福井県の同条文からは「衣服」という言葉が削除されています。

 しかし、この一件から、運転に適切な服装の基準が曖昧であるという声があがり、話題となりました。

 このように、服装について明確な線引きはないものの、危険性のある服装が許可されているわけではないようです。

 そのため、冬用のアウターも、条例違反に該当する可能性がゼロではない可能性があることは認識しておくと良いかもしれません。

防寒小物や靴は交通違反に問われやすい…具体的には?

 このように、明確な服装に関する道路交通法違反は存在しないものの、状況によっては服装が原因で取締りを受ける可能性が存在します。

 運転中の服装について、交通相談コーナーの担当者は、次のように話します。

「服装に関する明確な違反はありませんが、状況によっては『安全運転義務違反』に該当してしまう恐れがあります。

 例えば、冬場になると手袋やマフラー、帽子などの防寒着を着込んで運転する人もいるかと思います。

 もちろんそれらが違反に該当するわけではありませんが、運転の操作性に支障をきたすと見なされるケースもあることを認識してもらえればと思います」

 このように、冬用の毛糸の手袋やスキー用の手袋などは、ハンドルを握るにも滑りやすいと言えるでしょう。

 手袋などの場合は、素材や形が運転に適しているか否かがポイントになっているようです。

手袋や耳あてを使用した運転は状況によって違反となる可能性もある

手袋や耳あてを使用した運転は状況によって違反となる可能性もある

 また、道路交通法第70条「安全運転の義務」は、次のように定められています。

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

 もしも違反すると違反点数2点、普通車では9000円の違反金が科されます。

 これまで手袋の着用で取り締まりを受けた事例はありませんが、手袋をするのなら、ドライビング用以外のものは避けたほうがいいのかもしれません。

 さらに、耳あてにも注意したほうがよいでしょう。

 耳あての場合は、周囲の音を聞き取れる状態で運転すること、という道路交通法施行細則に抵触する可能性があります。

 どの地域でも同様の条例がありますが、例として、大阪府の道路交通法施行細則第13条では次のように定めています。

「警音器、緊急自動車のサイレン、警察官の指示等安全な運転に必要な交通に関する音又は声を聞くことができないような音量で、カーオーディオ、ヘッドホンステレオ等を使用して音楽等を聴きながら車両を運転しないこと」

 また、こうした聴覚に関することはマフラーなどでも同様と考えられるので、運転する際は防寒小物類を外すのが望ましいでしょう。

 一方で、靴については、ほとんどの地域で規制を設けています。

 たとえば、東京都では、道路交通法施行細則第8条で「木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物をはいて車両等を運転しないこと」と定めています。

 大阪府では「げた又は運転を誤るおそれのあるスリッパ等を履いて、車両を運転しないこと」と第13条にあります。

 滋賀県でも、第14条において「下駄、ハイヒール、スパイクシユーズ等運転操作の妨げとなるような履物または衣服を着用して自動車および原動機付自転車を運転しないこと」と明記。

 多くの地域では、「げた」「サンダル」「スリッパ」「ハイヒール」などを運転時に違法とされる靴として条例に具体的に明記しています。

 しかし、ポイントとなるのは、靴の種類ではなく、確実にペダルを操作できるかどうかでしょう。従って、ブーツなども条例違反に該当する可能性はあります。

 冬場はブーツを履く機会が多いので、安全運転のためにも運転用にスニーカーなどをクルマに常備しておくと良いかもしれません。

※ ※ ※

 冬場は、セーターやコートで着膨れするうえに、手袋や、耳あて、マフラー、ブーツと加わり、身動きしづらくなります。

だからこそ、安全な運転のために、できるだけ運転操作がしやすい装いを心がけることが大切です。

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