高速道路で突然「エンスト」したら? まずは路肩に寄せて追突回避! 乗員はガードレールの外へ

高速道路で突然「エンスト」したらどうすれば良いのでしょうか。実際の事故を元に解説しています。

エンストしたらまずハザード、そして路肩へ退避

 クルマの不調により路上で停車することがあります。 
 
 もしそれが高速道路などの場合、どのような行動が求められるのでしょうか。

高速道路での故障、まずは安全なガードレールの外に避難(画像:筆者提供)

高速道路での故障、まずは安全なガードレールの外に避難(画像:筆者提供)

 2023年7月に鳥取道で燃料ポンプの不具合により停車していたホンダの軽自動車に衝突したことによる死亡事故が発生しました。

 なお燃料ポンプの不具合自体が直接、死亡事故を起こしたわけではありません。

 一方でホンダは2021年にデンソー製燃料ポンプの不具合に関して米国販売車種62万台以上をリコールしましたが、2023年12月にリコール対象車種を大幅に追加。

 このリコール対象車種を大幅に増やすことになったきっかけが前述の鳥取道の死亡事故です。

 なお、停車していたホンダ車へのリコールは事故当時に出ておらず、ホンダは事故後の2023年10月に追加リコールを国土交通省に届け出ています。

 まずは鳥取道の事故はどのようなものだったのか。事故処理を担当した鳥取県警にその時の様子を伺いました。

―― 事故が発生したのはどこになりますか。

 鳥取県鳥取市用瀬(もちがせ)町川中地内にある、中国横断自動車道姫路鳥取線の上り車線で智頭用瀬(※ちづもちがせ)トンネル内となります。

 ※(筆者注釈)鳥取市と八頭郡智頭町の境に位置する上下線別々の延長2,472mのトンネル。幅8.5メートルの2車線で、事故があったのは路肩がない場所。左側のゆずり車線上であるという報道あり。

―― どのような状態で事故は起きましたか。

 事故は2023年7月30日午後3時頃にトンネル内の上り線で発生しました。

 停車していた軽乗用車(ホンダ車)に別の軽乗用車が追突し、ホンダ車の後部座席に乗っていた82歳の男性が大動脈損傷のため亡くなりました。

―― 追突されたホンダ車はどこに停車していましたか。

 本線上(ゆずり車線)で少し左によっていた状態でした。

―― 事故の原因はなんでしょうか。

 別の軽乗用車を運転していた30代男性が前方をよく確認していなかったことによって停車していたホンダ車に追突しました。

 停車した原因はホンダ車に装備されていたデンソー製燃料ポンプの故障であることがわかっています。

―― 亡くなった後席の男性はシートベルトを着用していたのでしょうか。

 ベルト着用の有無は公開していません。死因は大動脈損傷で車外放出によるものではありません。

※ ※ ※

 鳥取道の事故は燃料ポンプの不具合でしたが、経年劣化などによって故障→エンジン停止となるケースもしばしばあります。

 しかし、対処方法を知っておけば最悪の事態を避けられる可能性もあります。

走行中にエンジンが突然止まったら?

 高速道路では法令の規定や警察官の命令、危険を防止するため一時停止する場合を除き、停車や駐車は道交法第75条の8に記されています。

 ただし、故障などが理由で十分な幅がある路肩や路側帯にやむを得ず駐停車することは、例外のひとつとして認められています。

 鳥取県警に走行中にエンジンが止まった場合の対処方法を聞きました。

「一般的なことになりますが、いわゆるエンストによるトラブルで車が止まってしまった場合は緊急時の3原則が適用されます。

『1.路上に立たない』『2.車内に残らない』『3.安全な場所に避難する』速やかにガードレールの外に避難する
の3原則です」

 ちなみに、この事故はトンネル内で発生しており、オンライン地図と画像で確認したところトンネル内にはクルマを退避させられるようなスペースがありませんでした。

クルマを路肩に止める際にはハザードランプをつけて三角板(停止表示板)を後続車から見えやすい位置に置いて

クルマを路肩に止める際にはハザードランプをつけて三角板(停止表示板)を後続車から見えやすい位置に置いて

※ ※ ※

 もう少し詳しい方法がJAFの公式サイトに掲載されています。

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 1.ハザード ランプを点灯して、路肩に寄せる。

 トラブルが発生した際はまず、ハザードランプを点灯させ十分な幅がある路肩や路側帯に寄せて停めます。

 橋やトンネルなど、路肩が狭かったり、路肩がなかったりする場合は可能な限り広い所まで自走してください。

 2.発炎筒や停止表示器材を車両の後ろに置く

 クルマが来ていないタイミングで速やかにクルマから降りて、同乗者をガードレールの外側など安全な場所に避難させます。

 停止表示板や発煙筒などで周囲のクルマに停止していることを知らせます。

 3.ガードレールの外側などに避難

 同乗者に続いてガードレールの外側などに避難します。

 なお、橋や高架などで外側に避難できない場合は 、追突された際に巻き添えにならないようにクルマより後方に避難します。

 4.非常電話か携帯電話で救援依頼をする

 原則として高速道路などでは1kmおきに設置してある非常電話か携帯電話で救援依頼をします。

 場所が特定できるように、路肩にあるキロポストの数字を伝えます。

 なお、非常電話で連絡した場合もそのままJAFに救援依頼ができます。
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 高速道路上で止まってしまうことは大変危険です。

 鳥取県警の「緊急時の3原則」にもあるように、発煙筒をたいたり、停止表示器材を出したりする余裕がなければ、まずはハザードランプを点灯させて車内に残らず安全な場所に退避することが最重要といえます。

 また、走行中にエンジンの不調を感じた場合はすぐに退避できるよう、路肩に近い車線を走るか、もしくは広い路肩やサービスエリアなど安全な場所にとめてJAFを呼んで点検してもらうことを勧めます。

 自動車保険のロードサービスは「エンジンが何となく不調」というだけでは利用できない場合もありますが、JAFは原因がはっきりしない不具合や異音・異臭など気になる場合も利用が可能です。

 これらのサービスは会員なら無料ですが非会員でも1万円~2万円(高速道路/一般道、夜間/昼間/レッカー有無によって料金が異なる)で利用ができます。

 先を急ぎたい気持ちがあっても、少しでもエンジンの不調などを感じたら大事故になる前に安全な場所で停車し救援を呼ぶことを強く勧めします。

 また会員でも非会員でも「#8139」で救援を呼んでください。

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