大型トラックの「謎のスペース」何が入ってる? 中はどうなってるの? 気になる「運転席の上」の活用方法とは

大型トラックの中には、運転席の上部に大きなハコ型のスペースが確保されているタイプのものがあります。あのハコの中は何があり、どのような空間になっているのでしょうか。

運転席の上の「ハコ」の中には何がある?

 大型トラックには、「キャビン」または「キャブ」と言われる乗車スペース部の上にハコ型のスペースがある「ハイルーフタイプ」のものがあります。
 
 あのスペースの中は一体どのような空間になっているのでしょうか。

大型トラックの「謎のスペース」どんな役割がある?(※画像はイメージ)

大型トラックの「謎のスペース」どんな役割がある?(※画像はイメージ)

 このハイルーフタイプのトラックは、運転席の天井部分が高くなっているため、ドライバーの圧迫感が軽減され、居住性がアップするという点がひとつのメリットです。

 また、ハイルーフ内に収納スペースが用意されていることもあり、業務に必要なヘルメットや作業道具のほか、長時間乗務するドライバーの着替えなどの私物を収納することができるようになっています。

 さらに、ハイルーフ車の中にはベッドスペースが確保されている仕様も存在し、トラック内で横になり休憩や仮眠を取ることも可能です。

 例えばいすゞの「GIGA」では「マキシルーフ」というオプションでベッドスペースを設置することができ、この中には蛍光灯や24Vコンセントが設置されているほか、空調を追加することも可能。快適に休憩することができます。

 大型トラックにこのようなスペースが設けられている背景には、トラックドライバーを取り巻く状況や法令などが関係しています。

 まず、トラックドライバーの乗務に関しては法令で厳しく定められており、例えば1人のドライバーが連続して運転できるのは4時間が限度。

 また、運転開始から4時間経過するまでに30分以上の休憩を与えなければならず、さらに1日の勤務終了後には8時間以上の休息期間を与えることが必要です。

 ドライバーの業務は運転以外にも整備や荷物の積み下ろしなどの作業があり、荷待ちと言われる待機時間などが発生しますが、これらの作業時間と待機時間を合わせて、1日の拘束時間は1日あたり13時間以内とされています。

 ほかにも、1台のトラックをドライバー2人で交代しながら運転する場合には「2人乗務特例」が認められており、この場合は拘束時間が最大で20時間まで延長でき、勤務終了後の休息期間も4時間まで短縮できるようになっています。

 これらのルールは「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の改正によって、2024年4月から新しいルールが適用されることになっており、一般的には「2024年問題」とも言われています。

 この改正において、2人乗務特例には従来のルールに加えて、基準を満たした車両内ベッドを設置した車両であれば、拘束時間を24時間まで延長できることとなっており、8時間以上の仮眠を与える場合には28時間まで延長可能です。

 この特例で定められた基準が、長さ198cm以上、幅80cm以上の連続した平面で、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものとなっています。

 そのため、長距離を2人体制で運行するトラックには、この基準を満たしたスペースを運転席上部のルーフ部分に確保しているものが見られるのです。

 従来の特例では休憩スペースの指定はありませんでしたが、2024年の改正以降は、ますますハイルーフトラックのハコ型のスペースが重要になってくると考えられます。

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 このように、大型トラックの運転席上部に設けられた空間には、収納スペースのほかにドライバーの仮眠や休憩ができるスペースが確保されています。

 2024年問題が話題になる中、待機時間の多いトラックや、2人体制で長距離輸送を担うトラックには必須の装備だと言えるでしょう。

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