ホンダが斬新デザインの新型「SUV」実車展示! コの字ライト&ファストバック採用で迫力凄い! 「N群」を広州で披露

広州モーターショー2023にて、ホンダは新たな中国専売SUVを2車種お披露目しました。「e:NS2」と「e:NP2」の2車種はどのようなクルマなのでしょうか。

ホンダ、中国専売「e:NS2/e:NP2」量産モデルをお披露目 広州モーターショー2023

 2023年11月17日より開幕した広州モーターショー2023にて、ホンダは新たな中国専売SUVを2車種お披露目しました。
 
 いったいどのようなクルマなのでしょうか。

これはカッコイイ! ホンダ新型SUV「e:NP2」(撮影:加藤博人)

これはカッコイイ! ホンダ新型SUV「e:NP2」(撮影:加藤博人)

 今回ホンダより発表された電気自動車(BEV)は「e:NS2」と「e:NP2」の2車種です。

 両モデルともに2023年4月に開催された上海モーターショー2023にてプロトタイプが発表されており、今回の広州モーターショー2023で量産モデルがお披露目された形となります。

 ホンダは中国にて、広州汽車との「広汽ホンダ」、そして東風汽車との「東風ホンダ」の2つの合弁会社を設けています。

 トヨタやホンダなど中国に複数の合弁会社を持っている自動車メーカーは、ひとつの車種をそれぞれの会社から別のデザインと車名を与え、姉妹車としてリリースすることが一般的です。

 今回発表された2車種は、e:NS2が広汽ホンダ、e:NP2が東風ホンダの製造・販売するモデルとなります。

 これ以外にも、中国市場では「ライフ/フィット」、「シビック/インテグラ」、「インスパイア/アコード」、「XR-V/ヴェゼル」、「エンヴィクス/クライダー」、「CR-V/ブリーズ」、「UR-V/アヴァンシア」、「エリシオン/オデッセイ」、「e:NP1/e:NS1」などが、それぞれ東風ホンダ/広汽ホンダから展開されています。

 ホンダは2021年、中国市場向けのBEVラインナップ「e:N」シリーズをローンチしました。

 第1弾となるのは広汽ホンダのe:NS1、そして東風ホンダのe:NP1となり、2022年に発売。

両モデルともにホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」をベースとしており、エクステリアデザインはまさに「グリルレスなヴェゼル」のような印象です。
 一方、インテリアはベースとなっているヴェゼルより大幅にアップデートされており、中央に位置する15.1インチ縦型ディスプレイや、フル液晶のメーターディスプレイ、ボタン式セレクターはe:NS1/e:NP1独自の要素となります。

 実際に試乗した際も、ホンダのコンパクトBEV「ホンダe」とヴェゼルを融合させたかのようなインテリアは洗練されていながらも使いやすく、とても好感を覚えました。

 パワートレインはモーター出力179 hp/バッテリー容量53.6 kWh、そして201 hp/68.8 kWhの2種類を用意。

 中国独自のCLTC方式で計測した航続距離は前者が420 km、後者が510 kmを誇りますが、駆動方式は前輪駆動のみとなります。

 そして今回発表されたe:NS1/e:NP1はこれに続くe:Nシリーズ第2弾モデルです。

 プラットフォームはヴェゼルをベースとするe:NS1/e:NP1の「e:N Architecture F」を同じく採用していますが、エクステリアデザインはファストバックのスタイリングを取り入れたまったくの新規設計となります。

ファストバックの新型「e:NS2」(撮影:加藤博人)

ファストバックの新型「e:NS2」(撮影:加藤博人)

 また、両モデル間のデザインの差異も第1弾モデルであるe:NS1/e:NP1よりも顕著となっています。

広汽ホンダのe:NS2ではX字を描くように屈折したデイライトが特徴的なフロントマスクを持つ一方、東風ホンダのe:NP2ではコの字型のヘッドライトクラスターを採用。また、リアのテールライトもフロントと同様の形を両モデルとも採用しています。

 インテリアは昨今の中国のトレンドに合わせるよう大幅に刷新されています。

 縦型ディスプレイが特徴的だったe:NS1/e:NP1とは対照的に、センターディスプレイは大型の横向きディスプレイを搭載。

 また、インストルメントパネルの代わりとなるディスプレイは大きくするよりも、ダッシュボードのラインを崩さないように極細型となっています。

 電源オフ状態では一見するとそのディスプレイが存在しないように見えますが、最近の中国ブランドのEVでは顕著なデザイン要素です。

 ステアリングも専用設計品となり、中央のエンブレムはホンダのCIマークではなく「Honda」表記となります。

 センターコンソールはホンダeのようにダッシュボードと完全に切り離されており、足元のスペースはとても広々とした設計。

 e:NS1/e:NP1は「純電動化されたヴェゼル」と中国内でたびたび評されていましたが、今回発表されたe:NS2/e:NP2では中国のトレンドをよく理解し、反映された真新しい印象を与えます。

 パワートレインはe:NS1/e:NP1の上級グレードと同じく、出力201hpのモーターに容量68.8kWhのバッテリーを搭載。

 ボディサイズなどの情報は明かされていないものの、ホンダは両モデルを2024年中に発売すると発表しています。

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 これ以外にも、e:Nシリーズ第3弾「e:N SUV序」の量産モデル、そして東風ホンダからは新ブランド「霊悉」の第1弾モデルも2024年中の発売が予告されています。

 またe:Nシリーズでは今後5年以内の発売を目指して3つのコンセプトモデル「e:N COUPE Concept」「e:N SUV Concept」「e:N GT Concept」の開発を進めているなど、積極的に電動戦略をアピールしています。

独特な顔のe:NS2(撮影:加藤博人)

独特な顔のe:NS2(撮影:加藤博人)

 そんな中でe:Nシリーズ第2弾となるe:NS2/e:NP2に対し、中国国内からの評判はおおむね上々です。

 第1弾のe:NS1/e:NP1は単にヴェゼルをBEVにしただけという印象が強く、「油改電(BEVに改造されたガソリン車)」という評価がさまざまな場所で見られました。

 それに対し、e:NS2/e:NP2ではデザインを内外ともに刷新している点が高く評価されており、「ついにホンダが本気を出してきた」との声が多く見受けられます。

 価格はまだ発表されていないものの、価格次第では大きな人気を博すのではないかとの見方がされています。

コの字ヘッドライトが印象的な(撮影:加藤博人)

コの字ヘッドライトが印象的な(撮影:加藤博人)

 一方で航続距離に関してはe:NS1/e:NP1と同様に、中国独自のCLTC方式で510 km前後と言われ、少々物足りないと不安視する声もあり、開発側と市場側で認識の乖離が生じています。

 e:NS2/e:NP2をはじめ、ホンダは2024年に数多くの新エネルギー車を中国に投入します。

 e:NS1/e:NP1は出来が良かったものの訴求力が足りておらず、ホンダにとっても巻き返しを図りたい1年となるでしょう。

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