道路の白い「ひし形」6割の人が忘れてる!? 重要なのに知られていない「謎の◇」の意味は? きちんと理解すべき交通ルールとは

道路には白い「ひし形」のマークが描かれていることがありますが、意外にも認知度が低いようです。クルマを運転するドライバーは理解していなくてはならないものですが、これはどのようなことを意味しているのでしょうか。

道路に描かれている「◇」って何?

 道路の交通ルールは「道路標識」や「路面標示」などで示されています。道路標識は道路の脇や上空、路面標示は路面に直接描かれているものを指しています。
 
 クルマを運転する人はもちろん、歩行者や自転車の人も交通ルールを守る必要があり、運転免許を取得する際にも教習所で教わるものの、忘れがちなものもあるでしょう。

道路のひし形(◇)どんな意味?

道路のひし形(◇)どんな意味?

 そんな、よく見ているはずなのに、忘れてしまっている道路標示のひとつに「白いひし形マーク」が存在。

 道路に白いペイントで「◇」が描かれているのですが、認知度がそれほど高くなく、どのような意味があるのかよく知らないという人もいるようです。

 白いひし形マークは何を示しているのでしょうか。

 ひし形マークは、「前方に横断歩道または自転車横断帯あり」ということを意味する路面標示です。

 基本的に横断歩道や自転車横断帯の約50m手前の地点と30m手前の地点に1つずつ描かれており、ドライバーに事前に知らせることで、横断歩道や自転車横断帯を渡っている歩行者や自転車の安全を図るために設置されています。

 山梨県警が、2020年に免許更新などで警察署を訪れた2600人におこなったアンケートでは、ひし形マークの意味を知っていた人は全体の約4割となっており、その意味を知らない人や誤回答をした人が全体の6割以上になったといい、重要な路面標示ですが、あまり知られていないということが明らかになりました。

 このひし形マークは、横断歩道や自転車横断帯がある場所に必ず描かれるのではなく、「横断歩道などの設置場所に信号機が設置されていない道路」や「道路または交通の状況により、横断歩道などの存在がその手前から十分に認識できない道路」に設置されるもの。

 信号機がない横断歩道や、カーブの先で見通しが悪い横断歩道など、特に注意すべき横断歩道の手前に設置されており、事故につながる恐れが高いことから、ひし形マークを見かけたらドライバーは注意して運転しなければなりません。

 そして、道路交通法第38条第1項では、車両等が横断歩道や自転車横断帯に接近するときは、横断歩道や自転車横断帯を渡ろうとしている歩行者や自転車がいないことが明らかな場合を除いて、その横断歩道などの直前で停止できるような速度で進行しなければならないと定められています。

 また、歩行者や自転車が横断していたり横断しようとしていたりするときは、横断歩道などの直前で一時停止し、通行を妨げないようにしなければいけません。

 さらに同条第2項では、横断歩道などやその手前で停止している車両があるときには、その車両の影から歩行者や自転車が出てくる可能性があるため、車両のそばを通って前方に出る前に一時停止をしなければならないと規定されているほか、同条第3項や道路交通法第30条では横断歩道などやその手前30m以内での追い越し・追い抜きを禁止しています。

 信号機のない横断歩道に関してしばしば問題になっていることとして、横断しようとしている歩行者や自転車がいても、横断歩道の手前で停止せずにそのまま通過するドライバーも多く見られるということが挙げられます。

 JAF(日本自動車連盟)は、「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」を各都道府県で毎年実施。

 直近の2023年の調査では、全国の一時停止率は過去最高の45.1%を記録しており、信号機のない横断歩道では歩行者を優先しなくてはならないということが知られてきてはいるものの、それでも過半数のドライバーが停止していないという実態が明らかになりました。

 道路にひし形マークが見えたら、クルマのドライバーは前方に設置された横断歩道や自転車横断帯を渡ろうとしている人がいないか確認し、もし歩行者などがいるのかがわからないときは、横断歩道などの手前ですぐに停止できるよう、十分スピードを落として通るように心掛けましょう。

※ ※ ※

 2023年の「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」では、都道府県別の停止率も公表されています。

 最も停止率が高かったのは「長野」の84.4%で、「石川」の76.4%、「栃木」の74.8%と続きました。

 それに対して、最も停止率が低かったのは「新潟」の23.2%。次いで、「佐賀」の26.2%、「福井」の26.7%でした。

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