なぜ152台が被害に!? パチンコ店火災何が起きた? 法律上は「責任問えない」が自動車保険で対応可能? 現状はいかに

神奈川県厚木市内のパチンコ店で発生した車両火災では150台以上が被害にあったと報じられています。なぜ被害が広範囲に及んだのでしょうか。

燃えたクルマの補償はどうなる?

 2023年8月、神奈川県厚木市内にあるパチンコ店の立体駐車場で発生した火災では150台以上もの駐車車両が燃える事態となりました。
 
 では、なぜ被害が広範囲に及んだのでしょうか。

なぜ被害が広範囲に及んだの?

厚木のパチンコ店では150台の車両火災が発生したというが、補償はどうなの?(画像はイメージ)

厚木のパチンコ店では150台の車両火災が発生したというが、補償はどうなの?(画像はイメージ)

 2023年8月20日、神奈川県厚木市のパチンコ店の立体駐車場において車両火災が発生し、駐車されていた152台ものクルマが燃える大惨事となりました。

 この火災は1台の乗用車のエンジン下部から出火し、周囲のクルマに燃え広がったことが原因とみられていますが、一体なぜ被害が拡大したのでしょうか。

 今回火災が発生した自走式の立体駐車場は、壁がない開放的な構造であるため煙が充満せず、大きな火災が発生しにくいと考えられており、消防法上ではスプリンクラーの設置義務がありませんでした。

 しかし実際は多くのクルマが燃え、立体駐車場の梁(はり)が高熱でゆがむなど甚大な被害が出ています。特に火元の近くに駐車されていたクルマは窓ガラスが無くなったほか金属の枠組みがむき出しとなり、一見して車種や色が分からないほどでした。

 これに関して、火災の専門家からは「フラッシュオーバー」と同様の現象が発生した可能性が指摘されています。

 消防庁消防大学校消防研究センターのホームページによると、フラッシュオーバーとは「室内の局所的な火災が、数秒~数十秒のごく短時間に、部屋全域に拡大する現象の総称」のことをいいます。

 またフラッシュオーバーの発生メカニズムに関しては、同ホームページで以下のように説明されています。

「局所的な火災によって熱せられた天井や煙層からの放射熱によって、局所火源そのもの、あるいはその他の可燃物が外部加熱を受け、それによって急速な延焼拡大が引き起こされ全面火災に至る」

 つまり今回の火災では火元のクルマから発生した炎が天井を伝って広がった結果、周りの駐車車両も熱せられて連鎖的に火災が広まった可能性があります。

 消防が2023年8月22日におこなった会見では、火災発生直後の初期消火ができなかったことや駐車車両が密集していたこと、開放的な構造で空気が供給されやすく燃えやすい状況だったことなど、複数の要因が考えられると説明しています。

 一般的に炎が燃え広がりにくいと想定されている立体駐車場ですが、このように消火の初動対応や駐車状況、風向きなどによっては大きな火災につながる危険性はゼロではないといえるでしょう。

燃えたクルマの補償はどうなる?

 そのほか、この火災に関してはSNS上で「燃えたクルマの補償はないのかな?」「誰が補償するの?火元のクルマの持ち主?パチンコ店?」など疑問の声が多く寄せられていましたが、現状はクルマの持ち主が加入する車両保険で対応するしかありません。

 なぜなら、明治32年に制定された「失火ノ責任ニ関スル法律」の規定により、原則として火元側に損害賠償責任を問えない(重大な過失がある場合は除く)ことが決まっているためです。

車両保険でもカバー出来るのは限定的?

車両保険でもカバー出来るのは限定的?

 そもそも車両保険に加入していなければ補償はなく、たとえ車両保険に加入していた場合でも補償範囲はクルマの流通価格内に限定されるため、被害にあった自動車ユーザーが満足な補償を受けられるかどうかは不透明といえるでしょう。

 ただし、燃えたクルマの廃棄費用についてはパチンコ店側が全額負担する方針と報じられています。

※ ※ ※

 今回のパチンコ店の立体駐車場で発生した大規模な車両火災について、神奈川県厚木市消防本部では12月に火事の詳細な原因を公表する予定です。

 その内容によっては、今後立体駐車場の消防設備のあり方に影響を与える可能性があるかもしれません。

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