【ネタバレ】映画「デデデデ」続きはどうなる?原作読者も驚きの展開とは?『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』を解説!

“地球がくそヤバい!”。突如現れた宇宙船が浮かび続ける東京を舞台に描かれる異色の青春ストーリー、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が前後編の二部作長編でアニメーション映画化されます。本記事では、原作漫画ではどんな展開を迎えるのか、今回の映画化ではどんな違いがあるのか、ネタバレありで踏み込んでいきます。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』(2024)あらすじ

三年生となり学校や受験勉強に追われながらも、毎晩オンラインゲームで盛り上がる仲良しの小山門出(声:幾田りら)と“おんたん”こと中川凰蘭(声:あの)は友人たちと平和に東京で暮らしていた。ただ一つ普通じゃないのは、二人が暮らす東京上空には宇宙から出現した巨大な宇宙船が浮かんでいたこと。3年前の8月31日に突如として現れた宇宙船をきっかけに、東京から逃げる者や大切な人を失ってしまった者、そしてまだその傷が癒えない者など、人々にとって大きな転機となったものの、兵器を投入し政府は対抗し続け、東京の人々は普通の生活を送れるようにはなっていた。そんな非日常が日常に溶け込むある夜、二人と仲良しだったクラスメイトに悲劇が起こってしまう……。*以下、物語のネタバレを含みます。

そもそも「デデデデ」とは?

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』こと通称「デデデデ」は、もともと2014年から2022年にかけて連載されていたSF青春漫画です。原作者である浅野いにおは『おやすみプンプン』などこれまでも複数作品を手がけていて、『ソラニン』(2010)や『零落』(2023)など実写映画化も果たしています。そんな中で浅野いにお原作作品では意外にも今作が初めてのアニメーション化。制作には浅野いにお自身も監修として参加している他、『ぼくらのよあけ』(2022)で監督を務めた黒川智之がアニメーションディレクターを担当し、脚本には「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズでシリーズ構成なども務めていた吉田玲子、そしてYOASOBIのボーカルでもある幾田りらと歌手やタレントとして活躍するあののダブル主演という布陣で制作されました。原作単行本は全12巻が刊行されており、それなりのボリュームがあるストーリーを劇場長編2本分でいかにまとめるのかも注目の点となっています。

宇宙船が飛来した目的とは?

一見普通の女子高生がおくる青春ストーリーと錯覚しそうになる“デデデデ”で忘れてはいけないのが、東京上空で浮遊し続けている円盤型の宇宙船の存在です。3年前の8月31日に出現したこの宇宙船は、アメリカ軍が投じた爆弾の投下によって攻撃を受けたことで、東京上空で停止して現在に至ります。浮遊する宇宙船は直接東京の人たちを攻撃をしてはこないものの、宇宙船からはさらに小型の宇宙船が不定期に発進され、自衛隊によって日常的に迎撃されています。

この宇宙船には、ヘルメットを被ったような容姿の小さな人型で、独自の言語を喋る宇宙人が乗っていました。地上に降り立った宇宙人は、秘密裏に自衛隊によって一方的に殺されています。果たして彼らはどんな目的で地球へやってきたのでしょうか。その答えは映画の後半で明かされる門出や凰蘭の過去で明らかになります。実はかつて、門出と凰蘭はある一人の宇宙人を助けたことで彼と親密な関係になっており、彼らは“事前調査”のためにやってきたと謳い、自身らが侵略者かどうかについて否定も肯定もするような返答を示していました

原作漫画との大きな違い

前章のクライマックスとして、門出と凰蘭の隠された過去が展開されていくわけですが、今回のアニメーション映画化で原作漫画を読んでいた人にも驚きを与えたのがこの過去のエピソードです。原作漫画と今回のアニメーション映画版は前章時点でも明確な違いがあり、それが二人の過去のエピソードが挿入されるタイミングです。映画では大葉圭太らしき人物が凰蘭と遭遇したことをきっかけに、凰蘭の脳裏に刻まれた記憶が一瞬蘇る形で展開されます。しかし、原作では凰蘭と親密な関係となった大葉圭太が、親しくなった田井沼マコトに明かす形で物語の終盤に判明するエピソードとして登場しています。原作漫画では門出や凰蘭が大学生になった後の出来事が、映画版では前倒しの形で登場したことにより、すでに物語の構成は原作漫画とは大きく異なる状態となっています。圭太は凰蘭に対して“シフター”、とも口にしていましたが、このアレンジは物語の結末を全く違う結末に導くのか、はたまた原作漫画を踏襲しながら映画版ならではの着地を迎えるのかは、原作を知っている人こそ気になるポイントとなっていました。

終盤に出てきた二人は何者?

終盤では門出や凰蘭とは全く関わりのないキャラクターとして、東京へやってくる二人の若者の様子が意味深に挿入されています。物事を頭ごなしに否定しないという姿勢の竹本ふたばと、隠れて女装をしていたことを東京に向かう飛行機で明かした田井沼マコトの二人は、飛行機の中で宇宙人たちが自衛隊によって迎撃される姿を目前で体験することになります。突然登場した彼女たちは何者なのでしょうか。原作漫画では、彼女たちは門出や凰蘭たちが進学する大学で出会う人物たちです。二人とも門出と凰蘭と大学で親密な関係となるのですが、侵略者に対する姿勢の違いから関係が悪化したり、前述の通りマコトは凰蘭の過去を知る当事者となったりと物語の後半で活躍するキャラクターとなっていました。今回の映画版では早々に凰蘭の過去が明かされたこともあり、どういった形で二人が物語に関わってくるのかも後章での注目のポイントとなっています。

飛行シーンに隠されたさりげない演出

原作漫画からのアレンジでいえば、漫画ではできない“音楽の演出”でもサプライズが用意されていました。過去に宇宙人と遭遇していた門出と凰蘭は、劇中の漫画である「イソベやん」のぬいぐるみを着せることで宇宙人を守ることになるのですが、その「イソベやん」のオマージュ元である『ドラえもん』のように宇宙人の持っている人間世界の文明を超えた道具でトラブルを解決しようとしていきます。そんな中で、頭に取り付けて飛行できる道具を使って門出と凰蘭が一緒に空を飛ぶシーンが一つのエモーショナルな場面として機能しています。この場面ではでんぱ組.incが2015年にリリースした「あした地球がこなごなになっても」が起用されています。実はこの曲は“デデデデ”の原作者である浅野いにおが作詞を担当した曲です。当時、でんぱ組.incのメンバーとの取材をもとに歌詞は制作されたのですが、加えて浅野自身も原作後半の展開を想定しながら書いたと明かしており、原作漫画でもクライマックスで曲名が登場しているなど繋がりの深い曲となっています。実際に音楽と一緒に物語を体験できるのは漫画にはできない映画ならではの表現と言えるでしょう。

果たして人類は滅亡してしまうのか

諸々が明かされた上で、人類滅亡までのカウントダウンが出てきたところで前章は終わってしまいます。果たして本当に人類は滅亡してしまうのでしょうか。原作漫画では、この後に宇宙船の劣化により実際に人類滅亡の危機が起こってしまいます。凰蘭と親しくなった圭太の奮闘や行方不明となっている門出の父親の真相といった出来事が絡み合うことで滅亡に対抗していくのですが、門出が実は過去で一度死んでいることや、現在は凰蘭たちのそばに宇宙人が居ないことの真相として“次元”が違うことが解決の道筋として登場していきます。映画版では門出や凰蘭の過去の明かされ方が異なるだけに後章でもクライマックスを原作とは違った構成で見せていくことは確実。どんな結末を迎えるかは原作漫画を知っている人も要注目となっています。 (c)浅野 いにお/ 小学館 / DeDeDeDe Committee※2024年3月25日時点の情報です。

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