樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」熱帯夜でもグッスリ眠れる7つの方法

熱帯夜でもグッスリ眠るには?

 

■夏バテの原因は「自律神経」の乱れ

 

 連日暑い日が続きますね。夏バテ気味の人も多いのではないでしょうか。

 

 夏バテは自律神経の乱れから起こります。自律神経は、交感神経と副交感神経から成り、交感神経は活動を司る「昼の神経」、副交感神経は休息を司る「夜の神経」。交感神経と副交感神経の働きを、昼と夜でうまく入れ替えることが健康の秘訣です。

 

 

 しかし、夏の暑さはこの調整機能に狂いを生じさせます。その結果、体がだるい、疲れ、不眠、食欲不振、無気力、下痢・便秘、むくみなど、夏バテの症状が表われます。

 

 夏バテを防ぐには、自律神経を整え、昼と夜との切り替えをしっかりおこなうことが大切ですが、そのために最も重要なのは「睡眠」です。

 

 そこで今回は、夏バテを予防するための快眠方法を7つ紹介します。

 

(1)エアコンはタイマーよりも、つけっぱなしで

 

 暑くて眠れないからといって、エアコンを強くして眠ると、体を冷やしてしまいます。風邪を引いてしまう人もいるでしょう。そのため、タイマー機能で、眠っている最中にエアコンのスイッチが切れるように設定している人も多いはず。ダイキン工業の調査では、エアコンのタイマー機能を使っている人は53.1%。一晩中、朝までつけっぱなしの人は23.5%でした。

 

 就寝してからの2時間を26度で設定した「タイマー群」と、28度で一晩中つけっぱなしにした「つけっぱなし群」とで、睡眠の質を比較した研究によると、「つけっぱなし群」のほうが深くて質のよい睡眠が得られました。

 

 人間が深い睡眠に入るには、「深部体温(体の内部の温度)が1度低下する」ことが必要です。タイマー群では、エアコンのスイッチが切れた後、室温上昇とともに、皮膚温(体温)が上昇し、続いて深部体温も上昇してしまいます。結果として、夜中に目が覚めてしまうのです。

 

 つけっぱなしの温度としては、27~28度を推奨します。風量は「静か(弱め)」の設定がいいでしょう。

 

(2)タイマー派なら3時間

 

「高めの温度でつけっぱなし」で設定しても体が冷えて調子が悪くなるという「タイマー派」の人は、タイマーの設定時間を最適化してみましょう。

 

 1時間で設定する人は多いでしょうが、1時間では短すぎます。設定時間は3時間がおすすめです。

 

 人間の睡眠は約90分周期といわれ、最初の睡眠サイクルが最も眠りが深く、疲労回復に必要な成長ホルモンも多く分泌されます。

 

 1時間設定だと、この90分の途中で体温が上昇に転じ、睡眠が邪魔されてしまいます。3時間設定にすると、90分の睡眠サイクルが2回分取れる計算になりますから、それだけで睡眠による疲労回復効果がかなり期待できます。

 

(3)湿度を下げる

 

 室温は誰でも気にすると思いますが、意外と見落としがちなのが「湿度」です。湿度が高いと体感温度や不快度が高まり、睡眠を妨害します。エアコンに除湿(ドライ)機能がついているなら、寝る前に忘れずにオンにしましょう。

 

 エアコンつけっぱなしに抵抗がある人も、寝る直前までドライ運転にして寝室の湿度を下げておくだけでも、睡眠によい効果があるでしょう。

 

(4)睡眠前90分入浴

 

 気温が高くない時期であれば、夜間になると自然と深部体温は低下するのですが、熱帯夜のような気温だと、体温は下がりづらくなります。

 

 寝るときに体温を下げるには、「睡眠前90分入浴」がおすすめです。これは、布団に入る90分前までに入浴をすませておくという意味です。24時に入床する人は、22時半ごろまでにお風呂から上がるイメージです。

 

 入浴中は体温が上がりますが、お風呂から上がったあとは、水分が蒸発する際の気化熱が体温を奪います。この場合、まず皮膚温が低下し、続いて深部体温が低下します。深部体温の低下はちょうど90分後くらいに始まるので、そのタイミングで布団に入るとすとんと深い睡眠に入ることができるのです。

 

 お風呂の温度は、夏場ですと38~40度が適温。42度を超える熱い湯が好きな人は、睡眠2時間前には上がるようにしましょう(体温低下に時間がかかるからです)。

 

 夏は水風呂がいいという人もいますが、推奨できません。水風呂や冷水シャワーは、昼間の猛暑の時間帯ならいいでしょう。しかし、夜間の寝る前だと汗腺が閉じて体の中に熱を閉じ込め、むしろ、体温低下を妨げてしまうからです。

 

 また、水風呂や冷水シャワーは、交感神経(昼の神経)のスイッチをオンにするので、やはり寝る前は避けたほうがいいでしょう。

 

 ちなみに、朝、交感神経をオンにすれば自律神経が整うので、朝の水風呂や冷水シャワーは推奨できます。私も毎朝、1分ほど冷水シャワーを浴びますが、目が覚めて、脳も体もシャキッとします。

 

(5)朝散歩

 

 自律神経を整える習慣として「睡眠」の次に推奨するのが、この連載で何度もふれている「朝散歩」です。朝起きてから1時間以内に15分程度の散歩(速足)をする。「太陽の光」と「リズム運動」によって体内時計がリセットされ、セロトニンのスイッチ、そして交感神経のスイッチがオンになり、体が一日の活動に向けてスタンバイ状態に入ります。

 

「夏は暑い」「日焼けする」という理由で朝散歩を避ける人も多いのですが、5分程度の散歩でも十分な効果が得られます。15分にこだわる必要はありません。気持ちよく散歩できる時間が「適切な時間」といえます。

 

まめな水分補給を目指そう

 

(6)水分の摂取

 

 人は眠っている間にコップ1杯分程度(約250ml)の汗をかくといいます。夏の蒸し暑い夜には、コップ2杯分を超える人もいるでしょう。そういうときは、きちんと水分を摂取しないと、脱水状態に陥る可能性があります。

 

 実際、夏の熱中症の4割は夜間に起きています。また脳梗塞は6月から8月の夏場、睡眠中や朝の起床後2時間以内に起きやすい。脱水によって血液がドロドロになり、血管が詰まりやすくなるからです。

 

 それらを防ぐためには、「寝る前」と「起きた直後」にコップ1杯の水分摂取をすることです。ただし、寝る前のお酒、コーヒー、お茶は水分に相当しません。アルコールやカフェインには利尿作用があるために、水分が尿として出てしまい、むしろ、脱水の原因となるのです。

 

 寝る前と起きた直後に限らず、夏場は日中も水分の摂取を定期的におこなうべきです。脱水、熱中症予防だけでなく、夏バテの予防にもなります。

 

(7)寝具を工夫する

 

 寝苦しい……。その最大の理由は何だと思いますか? 室温ももちろんありますが、じつは自分の体温なのです。私たちの体温(皮膚温)は通常36度前後あります。室温がいくら高くても、夜間に36度を超えることは珍しいでしょう。

 

 結局のところ、自分の体温(熱)が、布団や毛布、マットといった寝具に伝導し、その熱が自分に返ってくる。エアコンを強めても寝苦しいのは、自分の体温が原因なのです。

 

 最近、睡眠の質の向上を謳う寝具がいろいろ発売されています。そんななかで、私が愛用しているのが「温冷水眠マット」。これは、温度が調整できる水冷式のマットで、26~27度に設定すると背中がひんやりして気持ちよく、またエアコンのように寝冷えすることもなく、朝までグッスリと眠ることができます。

 

 最近では、熱伝導率の高い「冷たく感じる」マットや空冷式のマットなどもあります。値が張るものも多いのですが、熟睡できて日中のパフォーマンスアップにつながるなら、リーズナブルな自己投資だと思います。

 

 

かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動

 

イラスト・浜本ひろし

 

(週刊FLASH 2021年8月17日・24日号)

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