初試乗 ポルシェ・マカン・プロトタイプ 新型、細部の変更で熟成深まる

もくじ

少ない変更点 もとより優れた性能
細部への変更が中心
エンジン変更でパワー増強 ディーゼルは廃止
インテリアは大きく変更 TFTセンタースクリーン採用
より洗練された3.0ℓエンジン

少ない変更点 もとより優れた性能

歩くよりも遅いペースで運転していて、ナーバスになることはそう多くない。しかし、岩がゴロゴロと転がり、穴がボコボコと開いているような場所で、これから険しく岩の多い小山を登ると考えれば、ナーバスにもなろうというものだ。

どうやらポルシェは、マカンがこれまで市場に現れたSUVの中で最も運転が楽しいだけでなく、優れたオフローダーであることも示したいようだ。

ただ、わたしがオフロードに不慣れだと露呈するのはともかく、開発最終段階の貴重なプロトタイプを損傷させたり、何より険しい岩山を走って危険な目にあい、最終地点に着く前に南アフリカの草原で藻屑と消えるのだけは避けたかった。

ポルシェはマカンを優れたオフローダーに生まれ変わらせるために何を施したのだろう。ローレシオのギアボックスを採用したのだろうか。サスを変更して車高を上げたのだろうか。それともアプローチ・デパーチャーアングルを拡大したのだろうか。色々思い浮かぶが、どれも違う。マカンは誰も知らなかっただけで、オフローダーとしても初めから優れていたのだ。

試乗では、その傑出したトラクションや操縦性、一体感を再確認することができた。

細部への変更が中心

では、発売からの3年で、ポルシェはマカンにどんな変更を施したのだろう。じつをいえば、大きく変わったことは何もない。何も変わっていないのだ。マカンはここ数年間、忌々しいほどの成功を収めている。ポルシェが最も収益率の高いメーカーになったのも、じつのところマカンの貢献が大きい。そんなクルマに何か変更を施す必要があるだろうか。

とはいえ、ポルシェはマカンに手を加えずにはいられないのだろう。たとえ手を加える部分がなかろうと、ポルシェは世界で一番、細かく手を加えたがるメーカーなのだ。その結果、外観からは簡単に違いがわからないくらいの変更がなされた。

今回のレポートでは、普段よりも詳細な情報をお伝えできないことを許してほしい。今回の試乗車は、少なくとも公式にはまだ存在していないクルマなのだ。試乗車はまだ部分的に偽装されており、広報からの情報も皆無。そのため、把握できるのはさまざまな開発ドライバーと話して得られたソースの曖昧な情報だけなのだ。

とはいえこれから述べることは、秋の発表が近づいて公式にアナウンスされることとほとんど変わらない自信があるのでご心配なく。

エンジン変更でパワー増強 ディーゼルは廃止

最も大きな変更点はボンネットの下に隠れている。ベースグレードのマカン、マカンS、そしてマカン・ターボは技術的に大きくアップグレードされる。一方、ポルシェの方針で、ディーゼルのマカンが今後姿を消すのは悲しい限り(ハイブリッド・モデルのうわさもあるが、現行世代での登場は少々無理があるように思う)。

ベースグレードに搭載されるエンジンは現行と同じ2.0ℓターボ。ただし、出力は従来の251psから、VWゴルフRに搭載されるものに近い300psほどになる模様だ。税金や燃費の面から見ても、大人気だったディーゼルが廃止されることで、このパワーアップしたガソリンのベースモデルの重要度は今後増していくことだろう。

一方、マカンSとターボには新型エンジンが搭載されるが、3.0ℓV6であることは変わらず、一見して新型エンジンだとは気づかないかもしれない。しかしパナメーラにも搭載されているこの次世代V6は、Vのバンク内にターボを収める設計で、エミッション性能が向上している。パワーも現行の340psから360ps程度に向上し、トルクも大幅に増強されている。

つまり、簡単に言えば、次期マカンSは現在のマカンGTSと同じようなポジションに収まる。ポルシェの手法に変わりがなければ、それぞれのグレードに明確な差をつけた上で、残りのラインナップもいずれ登場するだろう。

マカン・ターボにもSと同じエンジンが用いられるが、排気量は2.9ℓになる(この差はパワー増に応じてクランクが強化され、その分ストロークが短くなったためだ)。現行の3.6ℓ400psから440psまで高められ、これはオプションでパフォーマンス・パックを選択した現行モデルとちょうど同じである。このパック搭載車の0-100km/h加速は4.4秒で、新型マカン・ターボもこれと同等のタイムだろうと予想される。

インテリアは大きく変更 TFTセンタースクリーン採用

エンジン以外にも、軽量化のためにアルミ製サスペンション・アップライトへの変更や、遮音性や乗り心地の改善、ステアリングの再セッティングや、オプションでタングステン・コートのブレーキの設定(ホワイト塗装のキャリパーのように見える)が行われた。

見た目の変更で言えば、ライトやバンパーのデザインが少々変更されただけでなく、インテリアに大きな変更が施されている。センターにはTFTスクリーンが採用され、最新式のインフォテインメント・システムが搭載されている。一方で計器類は、少なくともわたしがテストした車両ではアナログのままだった。

比較する現行モデルがその場にない状態では、シャシーの違いを見つけるのは難しい。おそらくそれができるのはポルシェのエンジニアだけだろう。

エンジンはまた別の問題だ。残念ながらマカンがもともと搭載していた4気筒エンジンを運転したことがなかったのだが、これが予想に反してかなり良かった。ゴルフに搭載されるエンジン同様、スムーズに回り、高回転では個性豊かだ。そして相当飛ばさないかぎり、6気筒モデルにもついていける。これは純粋にうれしい驚きだ。

より洗練された3.0ℓエンジン

マカンSに関して変化は少ないが、どの変更点も歓迎すべきものだ。新しいエンジンはスムーズで、ターボモデルの仕上がりが楽しみになるくらいの素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。

ターボの2.9ℓエンジンは爆発的な加速をもたらす。多くのひとがトップモデルを欲しがるだろうが、わたしとしては3.0ℓのSの方が洗練された感触で、ターボとの差はかなり小さく感じる。

新型マカンに大きな変更点は存在しないが、そもそもそのような変更は必要ない。モデルライフ中期のマイナーチェンジを前に、マカンが中型プレミアムSUVの中で最も魅力的なモデルだと確認もできたことだし、もしマカンが現在の地位から転落すれば、わたしは驚きを隠せない。

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